「麺工房 茜屋(あかねや)」・「愛媛グルメ紀行」 446
今日は、県道松山東部環状線沿いに北久米町にある”麺工房 茜屋”(あかねや)さんをご紹介しましょう。
県道松山東部環状線と言えば、久米の八幡神社から石手寺に至る道路で、四国八十八ヶ所の”浄土寺”から”繁多寺”を経て”石手寺”に至る遍路道にも当たります。
このお店は、お互いのブログでリンクし合っている:きくりんさん(ブログ名:愛媛さすらい日記)の11月22日号を拝見して訪れました。
こちらが県道沿いのお店です。1階が店舗、2階を住居にされているようでした。
ワタシがお尋ねしたのは、午前11時45分です。当たり前であれば、店内はお昼時ですから客で埋まっていなければいけない時間帯。
ところが、店内はコック服とコック帽をビシッと決めた店主さんただ一人。ワタシも一人ですからカウンター席につきました。
実はこのお店、自宅から近いこともあって開店当時に一度訪れています。その時、店内は客また客でした。
ところが、ラーメンをいただいて、その”魚介系”のスープの濃さに驚き、自分の好みではないと、それ以降は一度も訪れたことがありませんでした。
そこで、メニューを見ながら、店主さんに話を切り出しました。
「このお店は、もう開店されてから10年は経ちましたね」と。
すると「ええ、今年で11年です」と、短く応えられました。
「実は開店当初、一度お伺いしたことがあるのですが・・・・」とワタシは語尾を濁しました。
今度は笑顔になって「ああ、あの頃ですか。あの頃なら、”魚介系”のスープでやっていた時代ですね」とスラスラと話が続きます。
「ええ、実はその”魚介系”のスープの味、好みが分かれるのでは?と思いました」と、正直にお話しました。
「確かにそうでした。ですからスープの味を全面的に見直したのです」と続きます。
「ところで、ある方の紹介で再度このお店に来ましたが、どうやらイタリアンのお味のラーメンがあるとか」と。きくりんさんは、メニューにある”ボンゴレ”を記事になさっていました。
「ええ、様々な味に挑戦しています。そこのメニューにあるように、イタリアン系も3種用意しております」と。
そこで、ネーミングが面白かったので”モッツァレ”ら”-メン”の醤油味、お値段930円を注文しました。
店主さんは、さっそく麺茹でに入ります。
他に客はいませんから、調理中の店主さんに更に話しかけました。
「ワタシは色々なお店を食べ歩いていまして、それが一種の趣味といいますか。その中で、イタリアン系のラーメンに挑戦なさったラーメン屋さんを2軒知っています」
「その内1軒はお店を閉められました。もう一軒はラーメン専門店から元々やっておられた中華料理店に業態変換をなさいました。」
「その2軒目の店主さんにお話をお伺いしたのですが、イタリアン系に挑戦して評判は大変良かったけど、採算が合わなかったことと仕込みに手間がかかり過ぎたというお話でした」と続けました。
すると「その意味はよく分かります。ですから私はメニューを考える時、先ず採算に合うかどうかを考えます」と、話を切り出されました。
これが”モッツァレ”ら”-メン”の醤油味です。
ラーメンの上に大量の白髪ネギとパプリカをスライスしたものとカイワレが乗せられています。”白髪ネギ”は、今年の10月23日にアップした”一閃”さんでいただいた””とりねぎらーめん”の時にご紹介しました。
葱の太い根元部分の根の部分を切り落として、適当な長さに切り芯を取り除き、繊維に沿って”千切り”にし、それを水にさらして絞ってアクというか、葱の持つ”エグミ”を取り除いたものが”白髪葱”です。
この”白髪ネギ”は、水にさらす、そのさらし加減が難しい。さらし過ぎると、ネギの風味がなくなるし、さらしが足りないと今度はネギの”エグミ”が残る。”一閃”さんのさらし加減は絶妙でした。
このお店のさらし加減は、ネギの”エグミ”をやや強めに残してあります。好みが大きく分かれるところでしょう。
「その採算と仕込みを考える時、先ず一つの材料を他にも使い回せないかを考えます」と、店長の話は続いています。
「次に、その材料の賞味期限と一日に使う量を考えます。例えば、そのメニューにある”ボンゴレ”に使うアサリです」と、話の熱が次第に上がっていきます。
「そりゃあ、”アサリ”は生を使ったほうが断然美味しい。それは分かりきっています。味が歴然と違う。でも、一日の消費量を考えると、生のアサリを消費しきれない日も必ず出てきます」
「ですから、他に使い回しの効かないアサリは冷凍モノに頼らざるを得ません」と続けられます。
お話の途中に、そっとスープを啜ってみた。そして、ちょっと呻いた。
「お話の途中ですが、このスープは素晴らしい出来ですね!醤油ベースの味ながら、そこにオリーブオイルが効いていて、味がまろやかで深くなっていますね」と、話を遮るようにスープ味の感想をお話した。
「ええ、ありがとうございます。オリーブオイル以外に、チーズの味も溶け出して混ざった味になっています」と、胸を張られた。
「ただ、この”白髪ネギ”のさらし加減に好みが大きく分かれるかも知れませんね」と、正直にお話した。
すると「確かに言われるとおりかも知れません。しかし、味に関しては、お客さんの反応は様々です。お客さんに迎合し過ぎると、味に迷いが出て定まらなくなります」と、ワタシの正面に立たれた。
ここに店主さんのプライドを見せられた。でもこのプライドが、このお店を支え続けて11年を経過した。その意気や大いに良し!と思った。
そこでちょっと話題をずらせて「ところで、この県道沿いは中々ご商売が難しいのではありませんか?」と。
「ええ、そうなんです。でもこういう場所で5年も保てば、私は成功だと思います。そこで、うちのお店の客層を逆にこちらで想定したのです」
「ウチのメニューの値段は敢えて高く設定しました。その時に決めたのです、この価格でもウチに来ていただける客層は成熟なさった年齢層だと。若い方では来にくいし、一過性のお客さんも定着しないだろうと考えて」
店主さんが話をされている間にも、その合間を縫うように食べ続けました。
先ずチーズとオリーブオイルと醤油ベースの渾然一体となった、複雑でなおかつまろやかなこちらのスープは実に秀逸でした。
「それでですね」と、店主さんの話は続きます。
「今月はエスニックな”トムヤククン”をスープのベースにして出してみました。そして来月は”グリーンカレー”で勝負しようと思っているんです」と、子供の目の様に目を輝かせられた。
「”トムヤムクン”は世界三代スープの一つですから、ラーメンには合うでしょう。でも”グリーンカレー”はどうでしょう?扱いが難しいのではありませんか?」とお尋ねしました。
すると「仰るように、”トムヤムクン”も香辛料タップリで扱いは難しいのですが、ウチのスープはトムヤククンの香辛料の個性に負けなかったのです。」
「でも、”グリーンカレー”は扱いによっては、ウチのスープでは負けるんです。ですから更に工夫をしました。12月はこれで勝負です!」と、力強く宣言なさった。
その間も、食べ続けました。
また、麺が実にモッチリしたいい麺を使っておられます。
また店主さんの話を折るように「ところで、この”麺”、いい麺を使っておられますね!」と目を輝かせて話しかけた。
「はい、とびっきりいい麺を使っています。分かりますか?」と再び胸を張られた。
「分かりますとも!この麺の色艶を一目見ただけで、その質と食感が想像できます」と応えました。
あっという間に”完食”です。
それを見た店主さん「今度来られたときは、ぜひ”トムヤククン”を試して見て下さい」と顔を輝かされた。
「でも、お店のポスターを拝見すると”トムヤムクン”は11月限定とありますね」と、ワタシ。
すると「いえ、”トムヤムクン”は評判が良かったし、自信作です。ですからレギュラーメニューとして残しましす」と、一層大きく胸を張られた。
「分かりました。必ずまたいただきにきます」とお約束をしてお店を後にしました。
ほぼ入れ違いに、ワタシと同年代の男性一人客がお店に入られた。
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このお店は、お互いのブログでリンクし合っている:きくりんさん(ブログ名:愛媛さすらい日記)の11月22日号を拝見して訪れました。
こちらが県道沿いのお店です。1階が店舗、2階を住居にされているようでした。
ワタシがお尋ねしたのは、午前11時45分です。当たり前であれば、店内はお昼時ですから客で埋まっていなければいけない時間帯。
ところが、店内はコック服とコック帽をビシッと決めた店主さんただ一人。ワタシも一人ですからカウンター席につきました。
実はこのお店、自宅から近いこともあって開店当時に一度訪れています。その時、店内は客また客でした。
ところが、ラーメンをいただいて、その”魚介系”のスープの濃さに驚き、自分の好みではないと、それ以降は一度も訪れたことがありませんでした。
そこで、メニューを見ながら、店主さんに話を切り出しました。
「このお店は、もう開店されてから10年は経ちましたね」と。
すると「ええ、今年で11年です」と、短く応えられました。
「実は開店当初、一度お伺いしたことがあるのですが・・・・」とワタシは語尾を濁しました。
今度は笑顔になって「ああ、あの頃ですか。あの頃なら、”魚介系”のスープでやっていた時代ですね」とスラスラと話が続きます。
「ええ、実はその”魚介系”のスープの味、好みが分かれるのでは?と思いました」と、正直にお話しました。
「確かにそうでした。ですからスープの味を全面的に見直したのです」と続きます。
「ところで、ある方の紹介で再度このお店に来ましたが、どうやらイタリアンのお味のラーメンがあるとか」と。きくりんさんは、メニューにある”ボンゴレ”を記事になさっていました。
「ええ、様々な味に挑戦しています。そこのメニューにあるように、イタリアン系も3種用意しております」と。
そこで、ネーミングが面白かったので”モッツァレ”ら”-メン”の醤油味、お値段930円を注文しました。
店主さんは、さっそく麺茹でに入ります。
他に客はいませんから、調理中の店主さんに更に話しかけました。
「ワタシは色々なお店を食べ歩いていまして、それが一種の趣味といいますか。その中で、イタリアン系のラーメンに挑戦なさったラーメン屋さんを2軒知っています」
「その内1軒はお店を閉められました。もう一軒はラーメン専門店から元々やっておられた中華料理店に業態変換をなさいました。」
「その2軒目の店主さんにお話をお伺いしたのですが、イタリアン系に挑戦して評判は大変良かったけど、採算が合わなかったことと仕込みに手間がかかり過ぎたというお話でした」と続けました。
すると「その意味はよく分かります。ですから私はメニューを考える時、先ず採算に合うかどうかを考えます」と、話を切り出されました。
これが”モッツァレ”ら”-メン”の醤油味です。
ラーメンの上に大量の白髪ネギとパプリカをスライスしたものとカイワレが乗せられています。”白髪ネギ”は、今年の10月23日にアップした”一閃”さんでいただいた””とりねぎらーめん”の時にご紹介しました。
葱の太い根元部分の根の部分を切り落として、適当な長さに切り芯を取り除き、繊維に沿って”千切り”にし、それを水にさらして絞ってアクというか、葱の持つ”エグミ”を取り除いたものが”白髪葱”です。
この”白髪ネギ”は、水にさらす、そのさらし加減が難しい。さらし過ぎると、ネギの風味がなくなるし、さらしが足りないと今度はネギの”エグミ”が残る。”一閃”さんのさらし加減は絶妙でした。
このお店のさらし加減は、ネギの”エグミ”をやや強めに残してあります。好みが大きく分かれるところでしょう。
「その採算と仕込みを考える時、先ず一つの材料を他にも使い回せないかを考えます」と、店長の話は続いています。
「次に、その材料の賞味期限と一日に使う量を考えます。例えば、そのメニューにある”ボンゴレ”に使うアサリです」と、話の熱が次第に上がっていきます。
「そりゃあ、”アサリ”は生を使ったほうが断然美味しい。それは分かりきっています。味が歴然と違う。でも、一日の消費量を考えると、生のアサリを消費しきれない日も必ず出てきます」
「ですから、他に使い回しの効かないアサリは冷凍モノに頼らざるを得ません」と続けられます。
お話の途中に、そっとスープを啜ってみた。そして、ちょっと呻いた。
「お話の途中ですが、このスープは素晴らしい出来ですね!醤油ベースの味ながら、そこにオリーブオイルが効いていて、味がまろやかで深くなっていますね」と、話を遮るようにスープ味の感想をお話した。
「ええ、ありがとうございます。オリーブオイル以外に、チーズの味も溶け出して混ざった味になっています」と、胸を張られた。
「ただ、この”白髪ネギ”のさらし加減に好みが大きく分かれるかも知れませんね」と、正直にお話した。
すると「確かに言われるとおりかも知れません。しかし、味に関しては、お客さんの反応は様々です。お客さんに迎合し過ぎると、味に迷いが出て定まらなくなります」と、ワタシの正面に立たれた。
ここに店主さんのプライドを見せられた。でもこのプライドが、このお店を支え続けて11年を経過した。その意気や大いに良し!と思った。
そこでちょっと話題をずらせて「ところで、この県道沿いは中々ご商売が難しいのではありませんか?」と。
「ええ、そうなんです。でもこういう場所で5年も保てば、私は成功だと思います。そこで、うちのお店の客層を逆にこちらで想定したのです」
「ウチのメニューの値段は敢えて高く設定しました。その時に決めたのです、この価格でもウチに来ていただける客層は成熟なさった年齢層だと。若い方では来にくいし、一過性のお客さんも定着しないだろうと考えて」
店主さんが話をされている間にも、その合間を縫うように食べ続けました。
先ずチーズとオリーブオイルと醤油ベースの渾然一体となった、複雑でなおかつまろやかなこちらのスープは実に秀逸でした。
「それでですね」と、店主さんの話は続きます。
「今月はエスニックな”トムヤククン”をスープのベースにして出してみました。そして来月は”グリーンカレー”で勝負しようと思っているんです」と、子供の目の様に目を輝かせられた。
「”トムヤムクン”は世界三代スープの一つですから、ラーメンには合うでしょう。でも”グリーンカレー”はどうでしょう?扱いが難しいのではありませんか?」とお尋ねしました。
すると「仰るように、”トムヤムクン”も香辛料タップリで扱いは難しいのですが、ウチのスープはトムヤククンの香辛料の個性に負けなかったのです。」
「でも、”グリーンカレー”は扱いによっては、ウチのスープでは負けるんです。ですから更に工夫をしました。12月はこれで勝負です!」と、力強く宣言なさった。
その間も、食べ続けました。
また、麺が実にモッチリしたいい麺を使っておられます。
また店主さんの話を折るように「ところで、この”麺”、いい麺を使っておられますね!」と目を輝かせて話しかけた。
「はい、とびっきりいい麺を使っています。分かりますか?」と再び胸を張られた。
「分かりますとも!この麺の色艶を一目見ただけで、その質と食感が想像できます」と応えました。
あっという間に”完食”です。
それを見た店主さん「今度来られたときは、ぜひ”トムヤククン”を試して見て下さい」と顔を輝かされた。
「でも、お店のポスターを拝見すると”トムヤムクン”は11月限定とありますね」と、ワタシ。
すると「いえ、”トムヤムクン”は評判が良かったし、自信作です。ですからレギュラーメニューとして残しましす」と、一層大きく胸を張られた。
「分かりました。必ずまたいただきにきます」とお約束をしてお店を後にしました。
ほぼ入れ違いに、ワタシと同年代の男性一人客がお店に入られた。
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