「生そば 仁科」・「愛媛グルメ紀行」 313

今日は、東雲町にある蕎麦屋の老舗中の老舗、”生そば 仁科”さんをご紹介しましょう。


場所は、先月29日に299番目のお店としてご紹介した”馳走革命 88”さんが入っている”毘沙門坂ビル”の北角から東に入って直ぐ、安永ビルの1階にあります。

玄関1   こちらがお店の玄関です。


5月23日に295番目のお店として、国道56号線の犬寄峠にある”手打ちそば峠茶屋”さんをご紹介しましたが、あのお店も開業45年前後の老舗です。


こちらのお店も、開業の年をお尋ねしましたが「うーーん・・・?何年やったか・・・・もう忘れた!」という答え。


お店は、お2人ともトウに80歳は越えているとお見受けするご夫婦で戦後間もない頃に開業され、今もお2人でやっておられます。

店内2   お2人とも間違いなく、今は亡きワタシの両親の世代です。


第二次世界大戦を生き延びた後、蕎麦屋を開業され今日(こんにち)も週一の休業日以外は毎日お店を開けられ、お客様を受け入れられているのです。


ワタシの知る限り、この中予界隈では一番古い蕎麦屋さんの一つではないかと思います。


店内は狭く、20人も入れば溢れるのではないかと言う感じですが、長年このお店に通っておられるお客さんは皆さん慣れたもの。


このお店では相席が当たり前、皆さん黙って目の前で蕎麦を啜っているお客さんの席に相席します。

メニュー3   メニューは、蕎麦メニューとうどんメニューに大きく二分されますが、ご飯モノは”焼き飯”と”オムライス”、それに”イナリ”などがあります。


イナリなんて、2個で150円ですよ。


ほとんどの方が蕎麦とイナリ、もしくはおにぎりを採っておられました。


ワタシが注文したのは”ざるそば”で、お値段は550円(内税)です。


但し、蕎麦屋のざるそばの量の常識を知っていますので大盛りを頼みました、100円増しです。


大盛りで100円増しなんて、涙が出るほどうれしいですね。

ざるそば上4   こちらが”ざるそば大”です。


大盛りにしてもこの量。ここのお蕎麦は、5月14日に286番目のお店として紹介した”にしきそば”さんと同様の”更科蕎麦”を出します。


田舎蕎麦、藪蕎麦、そして更科蕎麦の三種の中では一番コストが高いので、どうしてもこういう量になります。


ざるに広く薄く延ばしてありますからこう見えますが、横から見ると下の画像の通りです。

ざるそば横5   このお店は、もう味がどうこうという次元では語れないお店だと思います。


戦後の混乱期を経て、高度成長期、そして今日の低迷期・人口減少期までの大正、昭和、平成と生き抜いてこられたのです。


80歳をはるかに超しても尚、毎日お蕎麦を打ち、湯掻き、お客さんの胃袋を満たし続けておられる。


それで、十分すぎるほど十分社会に貢献されているではありませんか。


金曜日に御紹介したお店のように、”業務用冷凍麺”を買ってきてお湯で戻して出すなどという”豪快(おうちゃく)”なことなでせず、ひたすら毎日自分でそば粉をこねます。

ざるそば6   確かに、蕎麦はやや甘い(適度な硬さから言えば、やや柔らかいという意味で)し、そば汁は味が甘い。


でも、そんなこと何の意味もありません。


そば粉を水回し(そば粉に水を合わせて練っていく過程をいいます)から始め、菊出し(そば粉が固まってきたら菊の花びらのように中心に纏め上げていく過程をいいます)、そして蕎麦を伸(の)して、今度は切って、湯掻いて、水にさらして、水気を切って盛り付け、客に出す。


大変手間隙がかかり、体力を要する仕事です。


奥さんは少しお耳が遠いけれど、キチンと客の注文を受けご主人にそれを通し、お茶を出して、出来た蕎麦を運び、下げ、勘定を済ませ、客が玄関を出るのを玄関まで出て客を見送る。


ご主人はと言うと、とても大正時代生まれ(と思うだけで、間違っていたらゴメンなさいですが)とは思えない声の張りで、「三番さん、ざる大、あがり!」と元気のいい声で奥さんに伝える。


蕎麦屋の小気味よさをそのままに、今もって残しておられる。

麺7   有難く、ありがたく、蕎麦の一本一本を味わって頂いた。


一本一本を噛み締めて味わった。体に蕎麦が染み渡った。


ワタシはこのお店の現役蕎麦職人のご主人に、僭越ながら”麺麺翁(めんめんおう)”の尊称を捧げたい。


どうか、何時までも通っておられるお客様に”更科蕎麦”を提供し続けていただきたい、そう祈りながらお店を出ました。


奥さんに玄関近くまで見送られながら。




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歴史を食べる

じゅんさん、こんにちは。

このお店の青いテントは見覚えがありますね。
開業45年ですか。ここにも歴史を食べさせてくれる名店があったんですね。

今の世の中の世知辛い話題、年金問題や生活保護不正受給問題などを見るにつけ、長きに渡って真っ当にご商売をされてこられてる事に頭が下がります。
此処は私も食べに行きたいと思います。





そうそう、この記事にも登場しました馳走革命88さん、何度行っても営業してませんが、もしかして廃業されたんでしょうか?
水曜日と土曜日、いずれもお昼12:00ちょっと前の訪問なんですけど・・。

お悔やみのコメントありがとうございました

乱駆郎 様
まず、お悔やみのコメントありがとうございました。こちらのコメントで、そのお礼を申し上げます。想定通りの、そして希望通りの逝きかたでした。葬儀は行わず、後日「お別れ会」を行います。
さて、先に「馳走屋88」さんについては、ワタシも先日お昼に再訪しましたところ、お店の玄関に張り紙がしてあって、「当面の間、夜間営業はお休みし、昼間12時からの営業とさせていただきます」とありました。ところが、正午になっても誰もいる気配はありませんでした。経験上では、そうなったケースでは中々維持が出来なくなると思います。当面、近くを通ったら、気を付けてみようと思います。
最後に、このお店、味の点では決して唸るほどではないと、正直思います。でも、一度訪ねてみて下さい。老夫婦の、気が遠くなるほどの歩みを感じ取れて、ワタシなど、今は亡き両親になぞらえてしまい、涙が出そうになります。また、お幾つになっても、現役で働いておられる姿は美しく、感銘を受けました。ぜひぜひ訪ねて差し上げて下さい。

こんにちは!!

素晴らしいお店ですね♪このざるそばがあの冷凍の釜揚げうどんと同じ値段だなんて、やるせないですね。しかしこの冷凍ほどひどくはなくても、ただ単に儲けだけに走っている店は少なくありません。しっかり本物を見極めないといけませんね。

じゅんさんのブログを見て考えさせられること、沢山あります。今の私はこの老夫婦のように続ける事。これを最大のテーマにしていきます。

このお店は

M様
このお店は、M様に見ていただきたくてアップしました。

ひたすらコツコツと。誠実にお客様に対応し続けて今日まで。

こういうお店のあり方があるということをお見せしたかったのです。

奇をてらわなくても、お客様は、本物には必ずついてきます。

お目の止まって良かった^^
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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