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「再訪19 にしきそば」・「愛媛グルメ紀行」 357

今日は”愛媛グルメ紀行”シリーズの再訪19番目として、今年5月14日にシリーズ286番目のお店としてご紹介したばかりの”にしきそば”さんを再度ご紹介しましょう。(「にしきそば」・「愛媛グルメ紀行」 286


松山では珍しい”更科蕎麦”を食べさせていただけるお店です。


場所は前回のおさらいになりますが、国道11号線沿いの東温市牛渕にあります。


国道11号線を市内から東温市に向かって走っていると、”菓子処畑田本舗”さんが道路の北側に見えてきます。そこから100m程東温市寄りにお店はあります。

玄関1
5月にお伺いしたときに、店名の由来などはご紹介しました。


今から33年前に、松山市内錦町で蕎麦屋としても産声をあげた老舗です。


何時も書くことですが、蕎麦は蕎麦の実のどの部分まで粉にするかで、大きく分ければ3種に分かれます。


蕎麦の実の蕎麦殻(そばがら)を挽き込んだ、黒っぽい蕎麦粉で打たれたものを”田舎蕎麦”といい、緑色の甘皮部分を挽き込んだ鶯色(うぐいすいろ)の蕎麦粉を使って打つ蕎麦を”藪蕎麦”(やぶそば)といいます。


それらに比べて、蕎麦の実を挽いたときに、一番初めに出てくる”白い一番粉”を使って打つのが”更科蕎麦”です。


ただし、”更科蕎麦”は元来信州更科のそば粉を使っていたことから出来た言葉ですが、とうの昔に信州更科では蕎麦を生産しなくなっていたので、今ではそば粉の製造法の別名と考えていいと思います。

夏メニュー2
ですから蕎麦の野性味には欠けますが、蕎麦の色は白く、上品な蕎麦の香りがほのかに香る蕎麦がこのお店の”更科蕎麦”です。


夏には、夏季限定メニューが用意されています。


ワタシは、冷たい蕎麦に一番合う”鴨南蛮”を期待していたのですが、このお店は一種の町の食堂の役割りも担っていますので材料費が高い”鴨肉”を使ったのではお客様に財布に酷なことになる。


そこで、鴨肉よりずっと安い鶏肉(但し、鴨肉の風味と食感に出来るだけ近い皮目のところを使われている)を使った”とりなんざる”メニューが用意されているのでそれを注文した。

とりなんざる3
この画像が”とりなんざる”です。通常のお値段は760円(内税)ですが、今は胃が縮んでしまったワタシ、唯一”大盛り”を頼めるメニューが蕎麦で、940円でした。


ただし、7月23日に”再訪シリーズ6”でご紹介した”味彩そば菊音”さんでは大盛りを頼むと大変なことになるのでできませんが。


”鴨なんそば”とか”とりなんそば”、あるいは”とりなんざる”の”なん”とは、”南蛮”のことで”ネギ”を意味します。


これについての詳しいことは、8月16日に”再訪17”でご紹介したばかりの”ごろびつ庵”さんの”鴨なんうどん”の項で詳しくご紹介していますのでそちらをご参照下さい。


とにかく、蕎麦の中でも一番上品な香りを楽しむ”更科系の蕎麦”と、野性味漂う”鴨南蛮”ならぬ”とりなん”の猥雑さ、不思議と相性がいいのです。


なお、”南蛮”(ネギ)は、本来火で炙って出していましたが、関西圏のネギは細いので炙らずに出されるのが普通です。

そば横4   ”大盛り”と頼みましたので、その効果を確かめるために真横から撮ってみました。


どうです!この堂々とした佇まい(たたずまい)。存在感に満ち満ちているではありませんか。


しかもキリリと冷たい水で蕎麦を〆てありますので、蕎麦が瑞々しい。


ほのかに白い蕎麦の肌から、高原の爽やかな香りが微かに漂ってくるような・・・・

そばにわさび5   こちらの、蕎麦に山葵(わさび)を付けて食べる食べ方は、7月20日に”再訪シリーズ5”でご紹介した”いよ翁”さんの項で触れました。


山葵(わさび)を、そば汁に溶かして入れるとそば汁の味を落としてしまうので、画像のように蕎麦に直接チョイと付けて食べるか、箸先に山葵を付けて蕎麦をつまんで食べるかすると、美味しくいただけます。


周りを見渡しますと、大抵の方は蕎麦と薬味が運ばれると、真っ先にそば汁(そばつゆ)に薬味(ネギや山葵やすりおろし大根)を投入し、その後に蕎麦をそば汁に漬して(ひたして)食べられています。


もったいないと、人事ながら思います。


と同時に、”そば汁(そばつゆ)”には、蕎麦職人の工夫とこだわりが詰まっていますから、美味しく頂くのがマナーだと思います。

薬味6   それと、今日は蕎麦とその”薬味”のことをちょっとだけお話しておきたいと思います。


いつかも書きましたが、現代の蕎麦が完成したのは江戸期も後期のこと。その頃に書かれた、「蕎麦全書」(寛延四年、1751年)によりますと、当時の役味(薬味)が色々紹介されています。


細かいことは省きますが、蕎麦に一番合う薬味として江戸時代から”生大根のしぼり汁”が上げられています。


もちろん、ネギも山葵(わさび)も一味(七味ではなく”いちみ”です)も挙げられていますが、筆頭は生大根のしぼり汁でした。


なお、元々薬味筆頭は鰹節を削ったものが上げられていましたが、こちらは後にそば汁に出汁(だし)として入るようになったので薬味としての役割りを終えたのです。


この薬味筆頭の生大根のしぼり汁の名残りが、今でも冷たい蕎麦の薬味として”大根おろし”の形で残ったのです。


ですから薬味として出された大根おろしの食べ方は、最初から入れないで、まずは生のそば汁で蕎麦を味わい、その後にそば汁に入れて楽しむのがいいとされています。ワタシもそう思います。

とりなん汁7   こちらは、”とりなんざる”のそば汁です。


大振りに切ったネギ(これを南蛮という。但し本来は関東の根深、太ねぎを指した)の下には、鶏肉が甘辛く煮られたものが入っています。


煮られた鶏肉から程よい油が出ていて、鴨肉の野性味をほのかに感じさせてくれます。


更科蕎麦を、ややタップリ目にそば汁に漬して、鶏肉の甘味とともに頂きます。


いいお味がでています。頬が自然にほころびます。

蕎麦湯8   蕎麦を食べ終わる頃に、熱々の”蕎麦湯”を持って来てくれます。


それを残ったそば汁に入れると、入れ切ったところで蕎麦湯がなくなります。


そば汁に蕎麦湯を漬した状態で、最高の”お吸い物”の完成です。


普通、冷たい盛り蕎麦(ざる蕎麦とかせいろ)には薬味として刻んだネギが付きますが、このネギは蕎麦を食べる時はそば汁には入れず、蕎麦湯をそば汁に足して”お吸い物”にした時に初めて香りものとして投入するのです。


少し残った鶏肉と南蛮(ネギ)が、高級お吸い物のカヤクと香りものになって、相乗効果を発揮できるよう計算され尽して客に出されます。

完食9   などと、散々講釈を垂れているうちに、あの大盛りを完食です。


最近食べ残しを出したくないという一種の恐怖心と戦いながら食べることが多いので、大盛りの完食!


これほど爽快なことはありません。本当に美味しくいただきました。


ご馳走様でした。




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じゅんさん、こんにちは!

相変わらず美味しそうですねー♪

特にとりなんざるの濃厚なつけ汁が堪りませんね。また今すぐ食べに行きたくなっちゃったじゃないですか~www

さらに今回の薬味についてのお話も大変参考になりました。
私もじゅんさんみたく、読み手に何か残せるようなブログを目指したいのですが難しいです(汗

あれは優れもの

乱駆郎様
このお店の「とりなん」、これは拾い物、優れものでした。
更科蕎麦の上品さ、それとは真反対の鳥の猥雑さ、それがジツに合ってるんです。不思議なくらいに合ってるんです。

蕎麦もいろいろ食べてきましたが、ああいう相反するものがぶつかった時の、見事な解決策は中々出合えるものではありません。

このお店の、内容的続編が明日に続きます。明日を読んでいただければ、お店は違っていても、内容はつながっていると言うことがお分かりいただけるかも。
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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