「再訪20 無着庵」・「愛媛グルメ紀行」 358

昨日は”再訪シリーズ”19店目として東温市の”にしきそば”さんをご紹介しました。

その際に蕎麦屋さんの”薬味”(昔は役味という字を当てていたこともある)のことに触れました。

江戸期も後期の頃に書かれた、「蕎麦全書」に紹介されている当時の役味(薬味)のことを書いたばかりです。

その中で、蕎麦に一番合う薬味として江戸時代から”生大根のしぼり汁”が上げられてた、と書きました。

そこで気になったのが”大根”です。今の大根のほとんどの種は”青首大根”で、甘いんです。

ところが、江戸時代に薬味一番とされていた”生大根のしぼり汁”に使われていた”大根は辛かった”のです。

そこで思い出したのが、昔のままの”辛い大根”を薬味として使っている蕎麦屋さんです。

それが今日”再訪シリーズ”で20番目にご紹介する、椿参道沿いにある蕎麦屋の名店”無着庵”さんです。

看板とお店1
このお店は、昨年5月19日にシリーズ47番目のお店としてご紹介しています。(「無着庵」 真っ当な「B級グルメ店」 46


場所はその時のおさらいで、国道33号線の「椿神社入り口」交差点を西に入る椿参道(県道久米垣生線)の中ほどにあります。


また、”再訪シリーズ”の5番目のお店としてご紹介した”いよ翁”さんの時にも書きました、蕎麦打ち名人として有名な”高橋邦弘”氏が広島で開いた”手打ちそば教室”で1年半学び、高橋氏の勧めで松山の椿参道のこのお店を6年前に開店されたのです。


ですから、”いよ翁”は直弟子、”無着庵”は教え子ということになります。

店内2
店内は落ち着いた佇まい。


玄関を入ると直ぐに、蕎麦を打っている店主さんの姿が見えます。文字通り一心不乱に、蕎麦打ちに集中しておられます。

その他、お店には店主の奥様と、フロアー係りの若い女性の3人でやっておられます。

メニュー3
さて、このお店を再訪しようと思った動機は、冒頭に書きました「蕎麦に一番合う薬味として江戸時代から”生大根のしぼり汁”がある」と書いたことによります。

その江戸期の”生大根のしぼり汁”はとにかく辛かったのです。ところが今の大根は、作付面積98%と言われる辛くない大根”青首大根”。これはむしろ甘い。これでは蕎麦の薬味にはなりません。

ところがこのお店の”辛味大根そば”は、大根の希少種である”辛味大根”を使っているのです。

”辛味(からみ)大根”とは長さが20㎝程度と小型の、おろし専用の大根です。

そば、てんぷら、刺身などの薬味として生で使用します。最初はツンときて、やがて甘くなるのが特徴です。

京都の特産で昔は日常的に食していましたが、現在はスーパーなどには出ておらず入手困難な大根です。

辛味大根そば4
画像が、わざわざこれを食べに来た”辛味(からみ)大根そば”です。

お値段は880円ですが、大盛りを頼みましたので1030円です。

この”辛味(からみ)大根そば”は、様々な食べ方が出来るよう工夫されています。

最後はそば汁(そばつゆ)を、大量に乗せられている”辛味大根”おろしの上にぶっ掛けて頂きますが、最初は蕎麦猪口(そばちょこ)にそば汁を注ぎ、大根は入れずに普通に盛り蕎麦同様に頂きます。

このお店のそば汁は関東風でとっても辛い。

ですから、いきなりそば汁を蕎麦にぶっ掛け状態で食べたら、そば汁の辛さと辛味大根の辛さで、多分立ち往生されるでしょう。

辛味大根そば5
どうです?このお蕎麦。


しっかり打ってあるでしょう。


瑞々しさが伝わります。蕎麦からは必ずしも蕎麦の強い香りは漂ってこないけど、辛い薬味に負けない蕎麦です。


蕎麦の香りが物足りないという人もいるでしょうが、蕎麦の香りの正体は蕎麦の実の”甘皮”の香りで、上質な蕎麦は”香り微か”ということを知らない方もいるでしょう。

アップ6   更科蕎麦などに比べると、蕎麦も太く打ってあります。


実に力強い蕎麦です。

そば汁7   これがキリリと辛い”そば汁”(そばつゆ)です。


このそば汁に、蕎麦をどっぷり付けて食べると、それは直立不動で立ち上がるほど辛い!


従って、自然に蕎麦の下三分の一程度に汁を付け、一気に啜り上げます。


蕎麦食いは、グズグズはしてはおられないのです。

麺8
これが、蕎麦打ち名人の高橋翁に教わった蕎麦です。


丁寧に精魂込めて打っておられます。愚直に打っておられます。


店内の石臼で挽いたばかりのそば粉を打って、湯がいて、冷たい水にさらして供せられるのです。


所謂(いわゆる)「挽きたて、打ちたて、茹でたて」の”三たて”です。

ぶっ掛け9
そして、蕎麦を半分ほど食べたらそば汁を直接そばにぶっ掛けます。


その際に注意してほしいことは、そば汁の残りを全部掛けないこと。三分の一程度は残しておきましょう。


理由は二つ、その一つはそば汁を全部かけてしまうと、辛味大根の味に慣れていない現代人には辛過ぎると思うからです。


残りの理由は、蕎麦湯を楽しむためにそば汁を残しておくのです。


そば汁に蕎麦湯を漬して、飲み干す時の至福の時間、何物にも変えがたい時間です。

そば教室10
さて、店主さんは高橋翁に1年半蕎麦打ちを習われた。


ですからそのお返しの意味と、蕎麦文化の底辺拡大の為に、貴重な自分の時間を割いて、月に一度”手打ちそば教室”を開催されています。


手取り足取り教えるために、一度に教えられるのは3人まで。2時間たっぷりと。


蕎麦の伝道者としての風格をたたえた店主さんの笑顔がとっても素敵でした。


ご馳走様でした。


なおワタシのブログ友”ベル”さんから、香川県にも”日月庵”という蕎麦屋の名店があるという情報を頂きました。

この”日月庵”さんも、今日ご紹介した”無着庵”さんと同じく、高橋氏が広島で”手打ちそば教室”を開いた時の生徒さんで香川にお店を出されています。

「行って味を確かめてみては?」というご提案でしたが、何しろ遠いのと、噂では日曜日と月曜日、そして祭日にしかお店を開けていないということなので訪問を断念しました。


ベルさん、ゴメンなさい。本日の”無着庵”さんに代えるということでご理解を。




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おはようございます♪

お蕎麦は食べる方の拘りや、打つ方の拘りが深くて、
うどん一辺倒の私には、良さがいまひとつ分りません(笑)
ただ言えるのは、それなりのお店では、決して庶民向きの
お値段ではないと言う事だけ(≧∇≦)

主婦として、お腹を満たすには、質より量となりがちですが、
もうエンゲル係数も低くなって来たので、そろそろ拘りの味に
挑戦して見ても良いですね(^_-)-☆

ココのお蕎麦屋さんは、この蕎麦屋さんの前もそばやさんでしたね。
お店が、不規則に営業してた事が記憶に有ります。
味は美味しく、有名だった事も聞いてました。

ベルさんは、貧乏性なので食通にはなれ無いかも(^^ゞ

決して庶民的とは

ベル様
本文中でも書きましたように、「日月庵」さんはメッチャ辺鄙なところにあるらしく、カーナビのない車なので断念しました。

それと、蕎麦は、蕎麦粉の混入割合に応じて値段が劇的に変わります。蕎麦粉100%で打つ蕎麦を「生粉打ち」(きこうち)といいますが、ベラボーな価格に。
通常、蕎麦屋の名店といわれているお店ではニハチ(蕎麦粉8:小麦粉2)で打ってありますが、到底庶民的な価格にはなりません。
都会の駅の構内とか、駅前の立ち食い蕎麦屋もニハチで打ってあるところが多いのですが、こちらは蕎麦粉2:小麦粉8で良心的なお店です。これだと庶民的な価格になりますね。
まあ、愛媛はうどん文化圏に属する県ですから、美味しいうどん屋さんの方が圧倒的に多いですね。ですから、うどん屋さんに行くほうが無難ですね。

興味津津www

じゅんさん、こんにちは。

このお蕎麦屋さん、場所的には近くなんですが未だ行けてないですね。
そうですか、ここも本物を食べさせてくれる名店なんですね♪
また近々寄ってみたいと思います。

辛味大根も興味津津です。
この辛さは多分、私がダメな種類の辛さじゃないと思いますので行った折には私もこの”辛味大根そば”を食べてみたいと思います♪

この辛味大根

乱駆郎 様

「二日続いて、一話」という構成が分かっていただけたでしょうか?分からなかったら、もう一度昨日の記事をご参照いただきたい。

このお店の「辛味大根」タダモノではありませんよ。骨がありますよ。

甘く考えていたらギャフンと言わされますよ。でも間違いなく乱さんの苦手な辛さとはまったく別ですから、その点はご安心を。

そして、食べ方については今日の記事を、どうかご参考になさって下さい。そして楽しんで食べてください。
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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