「八幡浜市立 日土小学校」

今日は、八幡浜市立”日土石小学校”の校舎をご紹介しましょう。


この小学校は、ある意味で昨年、日本で一番有名な小学校になったと言っても過言ではないでしょう。


昨年4月に”日本建築学会賞”を、10月に歴史的建造物や文化遺産の保護・保全を目的とする非営利団体ワールド・モニュメント財団の”モダニズム賞”を受賞、更には12月に”国の重要文化財”に指定されたことで、日本中で一躍脚光を浴びることとなりました。


場所は、八幡浜市内から佐多岬に向かう国道197号線を保内町に向かい、途中から主要地方道長浜保内線に入って”喜木川”沿いに北上し、更に県道28号線を北上するとあります。

校門1
こちらが”日土石小学校”の校門です。


以前から、ここを訪れ画像に収めたいと思っていましたが機会が中々ありませんでした。


ところが、ワタシのブログ友:”Kaori”さん(アメリカのロサンゼルス在住)がご主人のアレックスさん(ドイツ人)と一緒に久しぶりに里帰りされることになりました。(郷里は東温市)


そして、松山に帰っている時にアレックスさんに愛媛のいい所を見せたいということで、その中に”日土石小学校”が候補に入っています。そこで、Kaoriさんご夫婦の帰国に先立って、せめて画像だけでもお見せしたいと取材に行きました。

校舎全景2
こちらが、”日土石小学校”校舎の全景画像です。


学校は、南西部を流れる”喜木川”沿いに建っています。そして、喜木川を挟んだ裏山には”ミカン山”です。

校舎右から3
この画像は、校舎に正対すると右側に建っている体育館から写した画像です。


学校校舎としては珍しい”木造校舎”です。

中庭4
中庭(パティオ)は、木作りの床が張られ、その間にも木が植えられています。

廊下と川5
こちらが、校舎に沿って流れる清流”喜木川”です。澄み切った小川です。


この、校舎と裏の小川と、その裏のミカン山が一体となっているところが”日土石小学校”の大きな特徴の一つです。

廊下6
横一線に広がる校舎の裏は、この画像の様に一本の廊下で繋がっています。

廊下7
この校舎が出来たのは、”中校舎”が1956年の竣工、”東校舎”は1958年の竣工です。今から57年~55年前のことです。


設計したのは、当時八幡浜市役所の土木課に勤務していた”松村正恒”氏です。


”松村正恒”氏は大正2年大洲市生まれで、武蔵高等工科学校建築学科を卒業され、建築事務所や営団を経て、昭和23年から八幡浜市役所の土木課に就職されています。


その後、長谷小学校を皮切りに、八幡浜市の江戸岡小学校、神山小学校、そしてこの日土小学校、大洲市の新谷中学校、新谷小学校など、世界的に注目される学校建築を次々と手がけられました。

テラス8
この”日土小学校”は、教室を連結するテラスやベランダが川の上に張り出していることで有名です。


松村氏は、河川法違反を覚悟で「ここで学ぶ子供がこんな美しい環境で勉強できたことを思い出として心が清められるのであれば、私の罪ぐらいは償える」と、設計を押し通したとされます。

校舎と川9
松村氏のユニークな学校建築、生徒本位の学校を作るという設計思想は世界的に注目されるようになりました。


松村氏は市役所を辞めてからは松山市に事務所を構えられ、平成5年に80歳で永眠されました。

校舎内廊下10
一直線の廊下は、裏の小川”喜木川”沿いに伸びていますから、どの教室からでも裏山とその間を流れる”喜木川”が見通せます。


この校舎は築後50年を経過していましたから、古い木造校舎は改修するのか、改築するのかという議論が顕著化し、問題となりますが、日土小学校についても例外ではなく、地域を二分した議論が沸き起こりました。


その議論の中で、八幡浜市教育委員会として中・東校舎の改修、不足教室の新増築の方針が決定され、その方針に基き、平成20年9月から地震補強(中・東校舎)、新増築(西校舎)事業が実施され、平成21年6月末で工事が完成しました。


この地域の英断が、愛媛が世界に誇る学校建築遺産として世界の注目を集める事になったのです。

体育館11
ただし、平成21年6月末に改修が完了した日土小学校校舎は、学校として使用しているため、授業への影響があることから見学等を制限せざるを得ない状況です。


しかし、ドコモモ20選(モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織)および、市指定文化財に指定されている文化的に貴重な建物であり、全国から見学の問合せが多数寄せられ、関心の高さを考慮された結果、夏、冬、春休みの年3回、見学会を実施されています。


ですから、何時でも自由に行って自由に写真撮影ができる訳ではありません。また、近隣に広い駐車場があるわけでもありません。


ワタシがどの様な状況で撮影したのかは秘しておきます。

裏山13
この裏山のミカン畑、ワタシが小学校4年生から中学2年生まで住んでいた西予市明浜町狩江を思い起こされる風景です。


夏にはミカンが白い花を咲かせ、秋には一斉にミカンが色づきます。裏山の風景を見ているだけで四季の移ろいを実感できます。


この自然豊かな学校で育った子達が、優しい感性を育んで世の中に巣立っていくことを、何時までも何時までも応援したい気持ちにさせられました。





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No title

WOW、じゅんさん、素晴らしい記事をありがとうございます。
私も設計・建築士の端くれの端くれをさせていただいております。カリフォルニアは本当に建築法がとても厳しく、あー面倒くさい。クライアントのことを考えるより、いかに仕事がスムーズにいくかに重きをおいて仕事していることが多く、反省反省です。
見学会は時期的に合わずどうしようかなーと思ってたのですが、じゅんさんどうやって中に入って写真撮られたんですか!!さすがです・・・・w
時間が合えば是非行きたいとまだ思っておりますが、このじゅんさんのレポートで十分な気もしてますw ありがとうございます。

間に合って良かった

Kaori様
お二人が帰国されるまでに、何とか画像に収めておき、もし日程的に見学が無理な場合でも、その画像だけでも見ていただきたいと思いました。
一度行った時は大雨に見舞われて撮影を断念。2回目の訪問でやっとカメラに収めることができました。どのようにして撮影したのかは秘中の秘です。^^

地域全体の景観に完全に溶け込んでいて、よくぞこの建物を残していただいたと感謝せずにはおれません。淡いグリーンの校舎の屋根と裏山のミカンの木々の色がピッタリマッチしています。

間に合って良かったと思います。現地に行っても撮影できないかも知れませんね。
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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