FC2ブログ

「てっちゃん」・「愛媛グルメ紀行」 512

今日は、昨日の”続編”をお届けしましょう。

昨日は、道後一万町、勝山町の電車通りを北上した県道松山北条線沿いにある”泰州ハイツ”1階に昨年7月にオープンした”ちゃんぽん食堂 てっちゃん”をご紹介したばかりです。

その”ちゃんぽん食堂 てっちゃん”の店主さんのお父さんが、高浜町4丁目で30年以上、同じ店名の”てっちゃん”をやっておられて、その”暖簾分け”(のれんわけ)で、昨年7月にお店をオープンしたとお聞きしたのです。

それをお聞きしたからには、”お父さんのお店”をお訪ねしないわけにはいかないでしょう。

暖簾分けされた息子さんのお店をお訪ねしたのは水曜日でした。当然その翌日の木曜日にお伺いしようと、若い店主さんに告げますと「父の店は木曜日はお休みです!」と仰ったので、満を持して金曜日にお伺いしたというわけです。

玄関1
これが、お父さんが松山観光港前で30年以上やっておられる”てっちゃん”です。お店の名乗りは”博多チャンポン”でした。

これが、暖簾分けされた息子さんになりますと、お店の名乗りを”ちゃんんぽん食堂”と変えられています。

名乗りだけではなく、お父さんのお店は”チャンポン”、一方息子さんのお店は”ちゃんぽん”と平仮名表記されました。

つまりお父さんから暖簾分けされましたが、息子さんは息子さんらしい、息子さんが考えた”ちゃんぽん”像を追求されています。親子で同じメニューを扱いながら、それをどう変えられたのか?関心事の一つです。

店内2
こちらが店内の様子です。例によってワタシが店内に入るのは、店主さんとの会話を期待して午前11時30分。これはどのお店に対してでも、同じスタンスで同じ時刻にお店に入ります。

店内は、地元の常連客で半分埋まっていました。その後正午までに8割の入りになりました。

店内に入って注文を次げた時に、注文を聞きにこられたお母さんには「一昨日、暖簾分けされた息子さんのお店に行ってきました」と告げました。

お母さんは、その事を厨房で腕を振るっておられたお父さんに耳打ちなさいました。

ワタシの予想では、その瞬間に「それはありがとうございました!」という反応をされるとばかりに思っていました。

ところが、これが見事に裏切られるのです。お父さん、表情一つ変えず、淡々と注文されたメニューの調理に没頭されていました。

おまけに、ワタシが座った厨房の真正面のカウンター席の前の棚はかなり高いので、調理されているお父さんの手元が全く見えません。

メニュー3
つまり、お父さんとの対話が期待できないばかりか、調理の内容も観察できない。しかし、それは勝手にこちらが期待しただけで、全く仕方のないことです。

後は、店内の様子とお料理の内容に神経を研ぎ澄ますしかない、と覚悟を決めてお母さんに注文しました。

注文したのは、当然にこのお店の看板メニューであり、息子さんがそれを継承されている”チャンポン”です。お値段は600円。

注文したチャンポンが出来上がる前までに、次から次へと地元の常連客がお店に入ってきます。

その都度に、店主さん(お父さん)は、毀(こぼ)れんばかりの笑顔でお客さんたちを迎え入れます。

てっちゃん、この前の〇〇には来トラナンダヤロー!会場に入ったら、てっちゃんが来ていないんで、アレ~、てっちゃんはドシタ~ン??って△△さんに聞いたんよー!」っと、近所のおばちゃん達が実にかしましい。

「ごめんごめん、あの時はナー、□□じゃったんよー!」っと満面の笑みで応じるお父さん。

このお店と店主(お父さん)さん、この地域では無くてはならないおでありおなんです。

チャンポン4
これが注文した、このお店の名乗りにもなっている看板メニューの”チャンポン”です。決して”ちゃんぽん”ではありません。

ここで、最初の軽い驚きが。息子さんは底の深い””のような容器を使われていました。

ところがお父さん(お父さんと言っても、ワタシより遥かにお若い)、”チャンポン”用容器の常道である”平皿”を使われていました。

しかも使っておられる”レンゲ”です。暖簾分けされた息子さんが使っている”レンゲ”はお父さんのそれの三分の一のサイズ。それに比べると、お父さんが使っている”レンゲ”は、むしろ標準サイズよりやや大きめでした。

チャンポン5
これが真横から見た”チャンポン”です。昨日の息子さんが使っている容器と見比べてみて下さい。

一方お父さんは、近所のおばちゃんやおじちゃんに満遍なく笑顔で応対し、それが終わると厨房の強力な火口(ガスコンロ)の前で厳しい表情で火加減を見ながら素早く調理していきます。完全なプロの調理人の表情と動作です。

一部の揺るぎもありません。当然に会話に誘い込む隙など微塵もありません。

さて”チャンポン”のお味です。スープは、スープは、実に息子さんのお店のスープとほとんど同じ出来でありお味です。

具材です。キャベツ、太めのモヤシ、コーン、緑の青梗菜(?)、そしてキクラゲ、ジャコテン、チクワ、カマボコ、エビ、イカ、豚肉など、山盛りです。麺が見えません。

具材の違いは、僅かに””の彩りに何を使っているか?です。息子さんは奥さんの実家で作っている生食用の”ホウレン草”を実に巧みに使われていました。

アップ6
会話を諦めて、ただひたすら貪るように食べました。文字通り一気に。

「ウフフ・・・・お い ひ い・・・・・」、まともな言葉が出ません。何時もなら、連射砲の如く言葉が迸(ほとばし)るワタシです。

息子さんの”ちゃんぽん”との大きな違いは、容器の形とレンゲの大きさだけではありませんでした。

”がまるっきり違っていました。息子さんの麺は”ストレートの細麺”でした。お父さんが使っている麺は”平打ち麺”でした。

イタリアの”ロングパスタ”に例えるなら、”スパゲティ”を標準としますと、息子さんが使用している麺はスパゲティより細い”スパゲティーニ”でしょう。スパゲティの直径が2mm程度なら、”スパゲティーニ”は直径が1.4mm程度でしょう。

それに比べてお父さんが使っておられた麺は、平打ちの”タッリアテッレ”、もしくはワタシが今その行方を注視している”和ビストロきむら”さんが”パスタランチ”でこだわりを持って使われている”リングイーネ”でしょう。

麺8
これが、お父さんが使われている”平打ち麺”です。息子さん同様、製麺所に特注されているのでしょう。少なくとも、ワタシは”チャンポン”でこういう平打ち麺には初めて出会いました。

ワタシが感動の内に”チャンポン”を食べ終えようとしたその瞬間でした。

地元の常連客の注文にも一区切りが着いた、正にその瞬間だったのです。

ワタシに正対された(真正面で向かいあった)お父さん、ここで初めてワタシに言葉を出されました。しかも、今までの職人としての厳しい表情から解き放たれたかの如く、”破顔一笑”です。

「息子のお店に行っていただいたそうで、ありがとうございました」と。

今までのプロの職人としての表情や立ち振る舞い、しかも地域に中で”てっちゃん”と深い愛情を込められて呼ばれ親しまれている、この地域ではなくてはならない”てっちゃん”の店主の顔、更には”てっちゃん”そのものの人としてのご自分の立ち位置。

それとは一転して、暖簾分けした息子の”父親”としての表情に一変されたのです。正味驚きました。

「一昨日、道後一万町の息子さんのお店にお伺いし、その美味しさに魅了されました。そこで息子さんにお伺いすると御両親が高浜で同じ名前のお店を30年以上されていて、その暖簾分けでお店を出されたとお伺いしました。それで早速お邪魔したというわけです」とワタシ。

麺9
「それはどうもありがとうございます」っと、笑顔で顔をクシャクシャにされながらうなずかれます。

「息子さんが作る”ちゃんぽん”、もちろん美味しかったのでこのお店にも飛んで来たのですが、お二人で使っておられる”容器”と””は全く違っていますね」と、息子さんからお聞きした平皿を使わない理由や、更には奥さんの実家で作っている”ホウレン草”の工夫された使い方などをお父さんにお伝えしました。

すると「なるほど、息子は息子なりに創意工夫してやっているんですね!でも、いいんですよ、自分がやりたい方法でやれば。そこは自由に任せています」と、お父さん目を細めて仰いました。

「でも”スープ”だけは、このお店の味と全く同じで変えておられませんでした」っと、ワタシがこう言いますと。

そりゃあそうよ!!そりゃあそうでしょう。スープ”を変えてしまったらもう”てっちゃん”じゃなくなるじゃないですか!」っと、ここは両親とも声を揃えて仰った。

スープ”に懸ける”自信と誇り”、”てっちゃん”という暖簾に懸ける”情念”を見た思いで感動させられました。

「同じ種類のお店を始めたからには、息子とはライバルです!でも、いい意味で切磋琢磨してもっと美味しい”チャンポン”作りに挑戦したいと思います。時折息子の店を覗いてやってください」と、キッパリ仰るお父さん。

そこには”てっちゃん”という暖簾を守ってきた店主さんの強い思いを持ったお顔、職人としてのプライドを持ったお顔、地域の方々に愛され続けている”てっちゃん”というお人柄を持ったお顔、そして”父親”としての厳しくも優しいお顔。

何種類もの、いいお顔を見せていただきました。

親子2軒のお店を連続して見せていただきました。そして何れも言葉にならない美味しさを味あわせていただきました。親子の情愛と、父親の思い、それらも見せていただきました。

心から「ご馳走様でした」とご挨拶し、お店を後にしました。



にほんブログ村 地域生活(街) 四国ブログ 松山情報へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

おはようございます♪

親子でひとつの味を守るって、素晴らしい(*^_^*)
親子だから出来るのかも、他人が入り込むと面倒な事も
有るでしょうからね(^_^;)

まだまだお若い店主とのこと、お孫さんも同じ道を歩み
味を守ることが出来たら、何とも頼もしいお話ですが・・・
期待してしまいますね(笑)

親子でライバル

ベル様
親子でライバルっていいですね!

しかも、息子さんは親父さんから受け継いだスープはしっかり守って、それ以外には自分の世界を追求されています。

もちろんお若いご夫婦のことですから、三代目の誕生も期待できますね。^^

もっとも、仮にその未来の三代目がお店を出されても、残念ながらワタシはもう味わえませんが。(笑)

こんにちは

もう20年以上も昔ですが、観光港界隈の食堂でボンカレーを食わされて閉口したことがありまして。他県から遊びに来た友人を送って行ってのことでしたが。
それ以来ちょっとトラウマのようになっていたのですが、こちらのお店はなかなかよさそうですね。立派な息子さんまで独立されて。

機会があれば行ってみたいです。ていうかアノ時こっちの食堂に入っていればよかったですねえ。

食堂でボンカレー・・・

ファットマン様
「食堂」でまさかの「ボンカレー」とは、恐れ入りますね。ある意味唸りますよね。
災難としか言いようがありませんもの。

同じインスタントでも、高校時代に無謀な無銭自転車旅を企てまして、日が暮れて通った峠の雑貨店の前で、空腹で倒れそうになりました。その時、雑貨屋の奥さんが「チキンラーメン」にお湯を注いでいただいて食べて生き返りました。同じインスタントでも、時と場合によりますね。

こちらのお店のチャンポンは、胸を張ってお金が取れるお料理だと思います。遠いのですが、チャンスがあればお試し下さい。

それと、昨日「あづま屋」さんをお尋ねしました。貴重な情報ありがとうございました。記事は書きました。近くアップ予定です。
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード