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「西條そば 甲(きのえ)」・「愛媛グルメ紀行」 522

今日は西条市朔日市(さいじょうし ついたちいち)にある、愛媛県ではちょっと”抜きん出ている”と思った蕎麦の名店”西條そば 甲(きのえ)”さんをご紹介します。

このお店は、久万高原町在住の”兒玉さんご夫妻”にご紹介されました。ご主人は木工作家さん、奥様は漆芸家というご夫妻です。

”兒玉さんご夫妻”にご紹介頂いたのは、先月4月23日にアップさせていただいた”キッチン スプーン”さん、それに今月5月1日にアップさせていただいた”うどん 心”さん、それに既に再訪記事もアップした松山市内の”茶房 ひょん”さんに続いて4軒目です。

教えていただいて、直ぐに(連休中)に、高速道路を飛ばしてお伺いしました。

玄関1
こちらが、西条市朔日市(さいじょうし ついたちいち)にあるお店です。

ワタシは今、別のシリーズで「松山市の地名・町名由来」というテーマで毎週月曜日にアップしてるところです。

その地名由来から言えば、このお店がある”朔日市”(ついたついち)についてです。

天保13年(1842年)、伊予西条9代目の藩主”松平頼学”(まつだいら よりさと)の命によって、”風伯神社”(ふうはくじんじゃ、西条市朔日市にある)の祭日を四月朔日(ついたち)と七月朔日(ついたち)の2日だけこの町で賑やかな(イチ)がたったという由来からきています。

”ダイキ西条店”の隣にあって、駐車場は5台用意されています。

蕎麦打ち場2
このお店のホームページ(西条そば 甲(きのえ) 店舗案内)と、お店のメニューに拠りますと、平成17年に美味しい水を求めてこの地にお店を開かれたそうです。

店名の””(きのえ)は、店主さんのお名前から。店主さんは、ご出身は大阪。そして、「旨いそばを打つ為には、良いそば粉旨い水が必要という想いから、山梨県北巨摩郡(現 北杜市)でのそば打ち修行後、平成16年「水都・西条」へ移住。平成17年「西條そば甲(きのえ)」開店」とありました。

また、蕎麦屋の名店と称せられるお店の多くが、店内のアチコチに「店内の自分のお店のお蕎麦がいかに本格的蕎麦で美味しいか」という”能書き”を書き連ねているケースが多い中、メニューを裏から表から眺めてみないと分からないという、”控え目な能書き”が書かれています。(ホームページにおいても)

曰(いわ)く、お店の「西條そば甲(きのえ)三つの想い」というお店の”理念”を以下の通りに表明されています。

一、蕎麦道の追求   二、地域食文化への貢献   三、お客様への満足創意工夫   の三点です。

企業理念”(きぎょうりねん=この企業は何を目指しているか)と同じ発想の”想い”を掲げたお店には、初めて出会いました。

店内3
ワタシは連休後半の土曜日、つまり5月4日の午前11時20分にお店に入りました。既にその時点でお店は満席。蕎麦屋では初めてお目にかかった”ウエイティングシート”に名前を記入しお店の玄関を入ったところで立ちました。

何時もより早くお店に入ったのには訳があります。つまりこのお店は店主さんご自身の手打ちなので、その日に打った蕎麦が無くなり次第閉店と言うお店なのです。油断はできません。

待ち席(椅子)が4席設けられていて、既に4人がそこに座っておられました。ワタシはその時点で待順が5番目。直ぐ次に客が2名入ってこられて、店内で待てるのは都合7人まで。

店内で待っている間にメニューが示され、そこで注文を告げます。

立ったままで、メニューを繰らないといけません。

メニュー
メニュー表と、店内に掲げてあるメニューを記した短冊が目に入ってきました。

真っ先に目に飛び込んできたのは”土曜日と祝日だけ、15食限定”という”十割ざる”。そして、”秋冬季節限定”という”鴨南そば”。

ワタシ、”限定”(ゲンテー)と書かれていたら飛びつかざるを得ない性分なのです。さてさて・・・・・サテ・・どちらを選べばいいのか?迷いに迷っていました。

すると、フロアー係責任者的な若い女性(この方の所作が、実にキビキビいていて小気味いいんです)「お決まりでしょうか?」っときた。

思わず「ウッ!」っとなって「十割そばとー~・・・・、鴨南そばは、今の季節でもありますか?」っと声が漏れた。

「はい!ございます。蕎麦2枚ですね。どちらを先にお持ちしましょうか?」っと、ドンドン畳み込まれる。

「十割ざるを先にお願いします」っと、一気に注文が通ってしまった。ワタシの今の”胃”のことなど考える暇(いとま)がありませんでした。お値段は880円と1050円。

「お待ちのお客様〇番さまー、注文トーーリましたー!十割ざる一枚、鴨南そば一枚””鴨南”お待ちデーース(お後でーす、と言ったのかも知れません。アレヨアレヨと言うテンポなので、完全には聞き取れませんでした。

このお店・・・・・・中々に大変です。

お茶とお茶受け4
座る間もなく、お茶(蕎麦茶)とおしぼり、それに箸とお茶受けの”蕎麦を揚げた”ものが出されました。

タイミングよくお茶が出されたのにも、ちゃんとした理由があります。

カウンター席で食べていたお客さんがほぼ食べ終わる寸前でした。フロアー係責任者的な若い女性は、他のフロアー係りの女性に「カウンター席にお茶一つ、ご用意して」っと的確な指示を出されていました。

彼女、何時も一歩先を見ているのです。ところが、この”絶えず一歩先を見る”ということが実に微妙で難しいことだと、ワタシが気づいたのは最後の最後でした。

十割ざる5
さて出されました、お店が”十割ざる”と呼んでいる蕎麦が。出された瞬間に”気品”を感じました。

先ず”蕎麦”事態が瑞々しい。国産蕎麦粉を選りに選って、それに打ち抜き井戸で汲み上げた西条の名水を合わせられている。湯がきあがった後も、その名水でキリキリと締められている。

そば汁(そばつゆ)も実に香り高い。カツオと醤油と味醂の香りが綯(な)い交ぜとなって鼻腔をくすぐります。そば汁はやや辛めに仕上げられています。甘さは抑えられ、そこが気品となって香ります。

微妙なそばの風味を活かし切るそば汁です。

お店の表現をお借りすれば「ツユの生命線(かえし)は醤油と味醂と砂糖を加熱したもの。2週間から3週間寝かす事でまろやかな店独自の味になります。この熟成した(かえし)と出汁を会わせる事で蕎麦つゆが出来上がります」と。

薬味6
さり気無く添えられた”薬味”をご覧になって下さい。

エグミを抑えられたサラシネギ、糸のように細く繊細に切ってあります。山葵は静岡産。

そして嬉しいのは、山葵の左側に添えられた大根おろし。ただの大根おろしではありません。長野県産の”辛味大根”です。江戸の時代から”いっとうの薬味は辛味大根”とされてきました。

ところが、今の日本人の味覚、甘さに慣れてしまいました。だから大根だって、辛味を抜くための品種改良を重ねて”甘い青首大根”を開発した。

でもこれが”蕎麦”の世界では、そば汁から風味を消してしまった。嬉しい事と言いますか、流石(さすが)にと言いますか、このお店はピリリときて、そば汁を大人の味として楽しむことができる”辛味大根”をちゃんと用意されています。

静かに唸りながら、旨いそばを堪能させていただきました。そばといい、そば汁(そばつゆ)といい薬味といい、まあ完璧です。

汁7
例によってそばをいただく時、そば汁には”薬味”の中の”辛味大根”だけを入れて”十割そば”を啜りました。

山葵は、そば汁に漬ける前のそば自体に漬けながらいただきます。山葵を予めそば汁に入れてしまうとそば汁が歪むというか、そば汁の繊細な香りが飛ぶように思います。ただし、あくまでもこれは個人差、個人の好みの問題でしょう。

実に品のいい、繊細なそばをいただきました。間違いなく名品・逸品だと思い、感動を頂きながらそばもいただきました。

でも、ここで残念なことが。ワタシがそばを食べ終えるちょっと前に、フロアー係責任者的な若い女性は厨房に”鴨南そば”調理を指示されました。彼女は、厨房と客席を同時に見通すことが出来る絶好のポイントに立っておられます。

客はドンドン詰め掛けています。一秒でも早く客の回転を上げたいという気持ちはよく分かりますし、正しい判断でしょう。立ったままで待っておられる客の気持ちを考えれば当然だと思うからです。

しかし”十割ざる”を食べ終えて、さてこれからそば汁にそば湯を注いで、”出汁”の旨味を楽しもうとしたその瞬間です。「鴨南そば、お持ちしました」っとワタシの後ろにフロアー係りの女性が立っている。

鴨南そば8
これが”鴨南そば”。「出汁はざるつゆ・かけつゆで節をそれぞれ使い分けております。」っと店主さんご自身がホームページにお書きになっておられます。

そして「本当に旨い蕎麦つゆは、そば湯で割って最後まで飲める事」と書いてあります。

ところが、そば猪口に、まだそば湯を注ぐ前に「お下げいてよろしいでしょうか?」っと。もう出来上がった”鴨南そば”が背中で痺れを切らせて待っているのです。

「そば湯を・・・・・・」っと口ごもりますと「そば猪口とそば湯は残しておきましょう」っと。

もうこうなれば、そば猪口にそば湯を注いで味わう時間的余裕などありません。さっさと目の前の”鴨南そば”にかからないとそばが延びてしまいます。

上の画像は、”鴨南そば”を食べ終わった後に、そば猪口に残った汁にはじめてサラシネギを投入し、そば湯を注いだもの。既にそば湯はやや冷めかけていました。それでも、そば汁自体が優れているので、上品なお吸い物をいただく感覚で飲み干しました。

鴨南アップ9
鴨南そば”の魅力は、炙られた太葱から滲み出た”甘さ”と、”鴨の胸肉”(だきみ)から豊かに流れ出した”油の旨味”にあります。

その二つの味が出汁と合わさって、実に濃厚な味を楽しめます。”十割ざる”とは、全く別の食べ物のようでした。

体の隅々まで、細胞単位で満足させられました。

完食11
文句なく”完食”です。一つのお店で二つの違ったメニューを同時に注文したのは初めての経験。

また、それをそれぞれに完璧に完食したのも、もちろん初めてのことです。このお店のこのメニューが故のことです。

”十割ざる”と”鴨南そば”を出されるタイミングだけです「惜しい!」と思ったのは。

でも連休中の午前11時20分から午後0時10分と言う日程と時間帯。勘定を済ませてお店を出たとき、店内には待ち客が5人、お店の外には10人が並んで待っておられました。

県外ナンバーの車も複数ありました。これだけの繁盛店です。あのタイミングは、お店の立場からすれば逆にギリギリのタイミングだったのでしょう。

ご馳走様でした

そして、ご紹介頂いた”兒玉さんご夫妻”様、ありがとうございました




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非公開コメント

No title

これを「回転率重視」みたいに書くのは店に気の毒。
「粋」な緊張感でしょう?
私は店の関係者じゃないですよ、ちなみに

なるほど

匿名様
朝一番のコメントありがとうございました。

なるほど「粋な緊張勘」ですね。いい言葉ですね!

私も決して、その回転を否定しているのではありません。逆に私がモタモタしすぎたのかも知れませんし。

このお店は松山からお昼に行くのには遠いのですが、ぜひぜひ再訪したいと思っています。今度は、その「粋な緊張感」を含めて味わいたいと思っています。コメントありがとうございました。
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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