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「十割そば 竹ばやし」・「愛媛グルメ紀行」 530

今日は、西条市洲之内にある蕎麦の名店”十割そば 竹ばやし”さんをご紹介しましょう。

国道11号線を新居浜に向かうと、西条市で石鎚山側に”湯之谷温泉”方面に入った奥にあります。

言葉で場所を説明するのは難しいので、後でアップするお店の”案内書兼メニュー表”にある近傍図をご覧になって下さい。

このお店は、久万高原町在住の”兒玉さんご夫妻”にご紹介されました。ご主人は木工作家さん、奥様は漆芸家というご夫妻です。

ご夫婦には、今までに久万高原町の”キッチン スプーン”さんと”うどん 心”さん、それに松山市内の”茶房 ひょん”さんと西条市の”西條そば 甲(きのえ)”さんという超個性的且つ”名店”の4店をご紹介いただいております。

お店1
こちらが、探しに探してやっと辿り着けたお店です。

その立地たるや、ブログ友”乱 駆郎”さんにご紹介していただいて、5月21日に”愛媛グルメ紀行”シリーズ526番目のお店としてアップしたばかりの”讃岐うどん 結結亭(ゆうゆうてい)”さんに匹敵する、あるいはそれの数倍難しい所にあります。

このお店をご紹介して頂いた”兒玉さんご夫妻”に同じくご紹介して頂いて、既に5月7日にアップしました”西條そば 甲(きのえ)”さん(「西條そば 甲(きのえ)」・「愛媛グルメ紀行」 522)さんも、一般的に言えば三流地に立地していましたが、それでも市街地でした。

裏庭2
でもこのお店は、”お客様に分かり安い場所に出店し、多くのお客様に来ていただきたい”という価値観より、”自分がお客様に味わっていただきたい”お蕎麦”を提供するには、どういう場所ならそれが可能か?”をトコトン考えられてこの地に1年半前に開店されました。

その店主さんが考えられた”どういう場所なら自分のお蕎麦を提供できるか?”という内容は、後ほどご説明します。

この画像は、お店(兼自宅)の裏庭の風景ですが、この風景を覚えておいて下さい。(細部まで)

この画像に、このお店がここに出来た原因が秘められていました。それは後ほど。

店内3
店内は広々としていて、お客様が座る椅子は実にゆったりと余裕を持たせた配置です。

あくまでも天井は高く、店内から見える風景は素朴な山村のそれでです。

ワタシがお訪ねしたのは、道に迷いながら行きつ戻りつして、丁度正午頃に到着しました。

探しに探しても、容易には辿り着けないこのお店に、先客が一組。ある職場の上司と部下と思しき妙齢の男女のカップルです。どういうご関係かは、今回のテーマから外れます。

なおこのお店の営業日と営業時間は、木曜日・金曜日・土曜日・日曜日の、午前11時30分から14時までの一日2時間半、一週間で僅か10時間だけ。

ブログ友”乱 駆郎”さんにご紹介していただいた”讃岐うどん 結結亭(ゆうゆうてい)”さんに対する、乱さんのネーミングを拝借するなら”1週間に10時間しか開いてない店”ということになります。

その理由も後ほどご紹介します。その理由をお聞きになると、「・・・・・・・」っと、何方(どなた)も想像も出来ない理由に遭遇されて、ただただ無言で立ち竦(すく)むだけとなるでしょう。

メニューと案内4
さてこのお店、メニューは基本的には二つだけ。”もり”と”つけ鴨”と呼ばれている”十割そば”の二種類だけ。

しかも北海道産の”国産蕎麦粉”だけを使い、そば粉100%、つまり”十割そば”(別名”生粉打ち”<きこうち>)だけを出しておられます。

そこで注文です。「うちは基本的には”もり”と”つけ鴨”しかございません。どちらになさいますか?っと店主さん。

「せっかくここまできたのですから、その両方をお願いします」っとワタシ。”十割そば”なら、その一人前の分量を2人前位は平気でいける!っと、この時点ではそう思って注文しました。

その時の店主さんの、やや困惑した表情の意味を知ったのは、食べ終わった後のことでした。

つけ鴨特盛り5
ワタシが注文した後で、店主さんから以下の提案がありました。「では、”つけ鴨特盛り”をお出しして、それに別に”つけ汁”(つけつゆ)をお付けしましょう。それで両方の味を楽しまれてはいかがでしょうか?」っと。

ワタシが注文した通りに出していただくと、お値段は2000円に。店主さんのご提案ではそれが1900円に。しかも”つけ汁”は、恐らくサービスでお出しになるおつもりでしょう。僅かなことではありますが、ここに店主さんの心意気を感じました。

上の画像が、”もり”用の”つけ汁”を追加される前の”つけ鴨特盛り”の姿です。この時点で「オッ!」っと、小さな衝撃が走りました。

「そばの量が・・・・・・   。しかもこれで”十割そば”!!」声が自然に漏れてしまいました。

そば6
このそばの瑞々しさをご覧になって下さい。しかも、西条の名水・冷水でしめられていますので、そばには”凛とした佇(たたず)まい”すら感じます。しかもそばの量が多い。”十割そば”の”もり”単品なら700円

5月7日にアップした、同じ西条市にある”西條そば 甲(きのえ)”さんんでは880円。量はこのお店の概ね三分の二。でも甲(きのえ)さんの価格も随分良心的価格です。

このお店は厨房仕事から、お蕎麦の上げ下ろし、洗い物まで全て店主さんお一人でやっておられます。

しかも、腰を抜かすほど驚いたのは、”もり”を入れる(ざる)も、お茶を入れるも、薬味、つけ汁(つけつゆ)を入れるそば猪口(そばちょこ)まで、全て”竹製”ですが、「これら全部私の”手作り”です」っと、サラッと仰る店主さん。

後ほど、手作りの器類の全容はお見せします。

鴨7
こちらが”つけ鴨”の、つけ汁です。まあ大きな椀に、太葱を炙って香りを出す為に包丁目が入れられているものと鴨の胸肉(だき身)がタップリ入っているではありませんか。

思わず目を剥きました。しかも、葱と濃厚な出汁と、鴨の脂身の香りがどっと鼻腔を襲います。

ここまで”豪儀”(ごうぎ=いせいがいいこと)な盛り付けには、出会ったことがありません。

「この太葱、きちんと炙ってあるので甘さが引き立っていますね!」っと、店主さんにお声をかけました。

先客のカップルがお店を出て、出されていた器などを厨房に下げられ洗い物が一段落した頃合を見計らってお声をお掛けしました。

「ありがとうございます。今朝、そこ、ええ、その裏の畑で抜いてきたばかりですから」っと店主さん、さり気無く仰った。

山葵と麺8
この時点では”もり”用に特別に付けていただいた”そば猪口”が二つと、摩り下ろしたばかりの”山葵”(わさび)と”辛味大根”、それに”刻み葱”が、竹製の器に乗って供せられていました。

”もり”用に”そば猪口”を二つ用意されたのは「”もり”でそばをいただくとき、山葵と辛味大根がそば猪口で混じりますと、それぞれの特徴がうまく合わないので二つ用意させていただきました」っと店主さん。

その心遣いは実に細やかですし、しかもといいますか当然といいますか、薬味のいただき方にまで細心の注意を払っておられます。

さっそく、そば猪口の一つには辛味大根を出汁に溶き、もうひとつのそば猪口には出汁だけを注ぎいれ、山葵は例によっておそばに直接食べる分だけ付けていただきます。

まず”鴨のつけ汁”は、驚くほど濃厚、かつ鴨肉の美味しい脂分が溶け出ていて香気香る出汁となり、淡泊なそばを引き立てています。

もり”でいただいた”そば出汁”は、ちょっと直立不動になる位に”辛い”。

甘かったり薄かったりの関西風出汁に慣れている方は、「ウッ!」っと息を詰められるでしょう。でも正に関東風の、そばを活かしきる出汁です。

手製そば猪口9
「先ほど、太葱は裏の畑で・・・っと仰いましたね。しかもざるやそば猪口などの竹製の器類も全て手作りだとも!」っとワタシが再度確認しました。

すると平然と「ええ、この刻んだ葱も”辛味大根”も、全て裏の畑に自分で植えて育てて収穫したものをその日に使い切るだけ朝、引き抜いてきます」と。

・・・・・・・・言葉になりませんでした。

「食器類は、山で竹を切り出し乾燥させて細工して作ります。お料理では、無農薬の自分で作った野菜を食べていただきたいのです。でも全ての食材を自前で、というのは不可能なので蕎麦粉は”北海道産”のものを特別に仕入れていますし、山葵は静岡、鴨肉は京都から仕入れています」

「ですから、週に4日しか営業しませんが、他の日は食器作りや畑仕事が忙しいので、この4日営業が精一杯なんです」

「ええ、ここにお店を出した理由ですか?それは、この広さと水の確保が同時にできるのはここしかなかったからです」

「松山で畑付きで水のいいところを、これだけの面積で確保しようと思ったらお店は出来ませんし、このお値段では客様に提供できません。自然にここに落ち着いたんですよ」っと店主さん。

完食10
この店主さんの思いを全て心からいただきました。そして何よりも”お蕎麦”自体が絶品!でした。

店主さん自身が「私は毎日このそばを食べますが、そばだけは飽きませんね」っと、心から蕎麦を愛していらっしゃる。

そして量がタダモノではなかったので、最後は苦しい思いをしながら完食しました。もちろんそば湯をいただいて、”もり”の出汁に刻み葱を浮かせてお吸い物としていただきましたし、鴨汁(かもつゆ)にも蕎麦湯を足して飲み干しました。

ワタシが完食したのを見ていたかのように、次の夫婦一組がお店に入られました。そば屋さんで、全部で1時間かけていただいたのは初めての経験です。

何で?????久万高原町にお住まいの”兒玉さんご夫妻”は、こういう隠れ家的な名店をご存知だったのでしょう?

しかし、とにもかくにも「兒玉さんご夫妻」様、本当に名店をご紹介いただきありがとうございました!!

なお、何故か”そば屋”に出会うと、ワタシ自身が饒舌(じょうぜつ=おしゃべり)になってしまいます。

そば屋には”能書”が多いと、何時も書きますがワタシ自身が”そば屋”さんを訪れたときは”能書”だらけになります。不思議でなりません。そしてゴメンナサイ!


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おはようございます♪

お蕎麦を竹の器で食べるって、めちゃくちゃ『和』を感じますね(*^_^*)
竹の器は今まで色々見ましたが、こちらのお店は凝ってますね。
工芸品と違って、ちゃんとした器になってます。

昔四万十の山奥で、直径が20センチ以上もある竹を、
玄関脇の花飾り用にと頂いた事が有ります。

竹は利用価値が高い、立派な木材ですよね。
もっとどんどん利用して欲しいですね。
中国のように防腐剤は使わないで、日本の技術力で・・・(*^_^*)

竹の枯れた色が

ベル様
お早うございます。

このお店は、青々とした孟宗竹を切って干して、それからジックリ加工されます。すると、竹の枯れた色合いがちょうどお蕎麦に合ってるんですよ。風情があって良かったです。

今、竹林による被害が全国各地で深刻になっています。竹は根が浅くて、横へ横へ這って伸びますから、保水力が弱く、風水害に弱いという弱点があります。
やはり安いプラスチックや中国製品に追われて、竹細工の製品がどんどん姿を消していますね。

私の実家は竹林の中にありますので、竹に対する思いはひとしおなのですが、残念です。昔は茶道具としても珍重されていたのですけどねー。
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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