「再訪 144 そば町谷」・「愛媛グルメ紀行」 573

今日の”再訪シリーズ”144番目のお店は、東温市則之内の”JAえひめ中央三内支所”敷地内にある本格的蕎麦屋の”そば 町谷(まちや)”さんを再びご紹介しましょう。


このお店は、今年の5月9日にご紹介したばかりです。(「そば 町谷(まちや)」・「愛媛グルメ紀行」 524


時をおかずして再訪したのは、梅雨も開け”夏大根”が辛くなる頃になったと思ったからです。この判断が余りにも甘かった!っと分かったのは、”おろしそば”をいただいた瞬間に分かりました。詳しくは後ほど。

玄関1
これがお店の風景です。外観は、国道11号線沿いにある実に平凡な”そば屋”です。


ところがこのお店、”決して侮ること無かれ”っというお店です。


その意味は、このお店が松山市内や中予地区でも珍しい”そば粉10割”の、いわゆる”生粉打ち”(きこうち)の蕎麦を出されます。

店内2
これが店内の様子。お店に入ったのは午前11時30分。ワタシのお昼の定刻です。


なぜ、正午前にお店に入るのか?それは繁忙時を避けて、店主さんとの”会話”を楽しみたいからです。


ワタシにとっては、店主さんとの”会話・対話”は取材の大切な手段です。ワタシはお昼の食事で様々なお店を回りますが、食事をすること以上に記事を書くための”取材”をしたいが為です。


ワタシにとっては、店主さんとの”会話はワタシの記事の命”なんです。


また会話が出来ない環境では、店主さんの調理の過程やお客さんの表情をつぶさに”観察”します。読んで頂いている方の中には、調理の方法などには興味がない方のほうが多いかも知れないですね。でもこの”観察もワタシの記事の命”です。

メニュー3
さて、”メニュー”を御覧ください。メニューのトップは、当然に店主さんがお客さんに一番食べてほしいメニューが載っています。


それが今回注文した”おろしそば”です。初めてこのお店に来た時、隣の方がこの”おろしそば”を食べておられました。


何と!”おろしそば”には、大根が半分添えられていて、自分で大根を下ろすことになっています。これに仰天し、次にお訪ねしたときはこの”おろしそば”を注文しようと決めていました。お値段は700円。


その時に見た大根は、ごく普通の”青首大根”の様に見えました。ですから、大根半分の量でも”辛くはない”んだなって思ったのです。この判断がいかに甘かったかということに、この後すぐに気が付きました。

そば打ち台4
このお店は、女性2人でやっておられます。店主さんは、ほっそりとして小柄な女性です。


その店主さんが、一人で朝からこの”そば打ち台”で、そば粉100%の”生粉打ち”(きこうち)をなさいます。


その”生粉打ち”の大変さを、前回の記事では以下のように書いています。<蕎麦粉は実に厄介な粉です。水に容易には混ざらないんです。蕎麦屋の職人泣かせ!なんです。>


<幾ら”水廻し”という過程を経ても、何時までたっても”蕎麦粉”は頑として水と馴染もうとせず、パラパラの状態が続きます。根気と性根を入れた心構えと技術をとことん要求されます。>(前回記事より)


そして、ご自身が心身込めて打たれた”蕎麦”が終わった時点でその日の営業は終わりです。


それに比べて、回転している寿司屋は、厨房の奥まで続いてるベルトコンベアーの先で”ロボット”が寿司を握っています。スイッチを切るまで握り続けています・・・・・・・・・

大根5
さあて、これが”問題の大根”です。スクっと屹立(きつりつ=そびえたつ)様をご覧になって下さい。

そば屋にしろうどん屋にしろ、過去に数々の”おろしそば”や”おろしうどん”を頂いて来ましたが、大根の半分が出てきたのは初めてです。

「この大根の種類は何ですか?」という質問に「エエ、フツーの大根ですよ。ただし”夏大根”ですから”辛い”ですよ!」っと店主さん。

その時、心のなかでは「普通の大根ということは”青首大根”。だったら幾ら”夏大根”と言っても、その辛さなんてたかが知れている」っと思い込んでいました。この”素人の思い込み”が大間違いだったことはこの直後に分かりました。

ワタシが大根を下ろしていると、フロアー係のおばちゃんが飛んできて「お客さん!お客さん!大根をおろすのは、そんなんではありませんよ!」っと。

そしてワタシから大根を引き取って、大根を下ろす見本を教えて頂きました。「大根はおろし器に対して直角に!そうしてこうやって大きく力強くおろすんです!」っと。

お「なぜそうやって、おろし器に直角になるように大根を立てるのですか?」

「美味しいからです!大根の繊維を断ち切るようにおろすんです!」っと。

おろしそば6
などと言っているソバから”蕎麦”が出された。これには慌てた。大根もまだ、ほとんどおろしていない。

「ああああ・・・・蕎麦が来ちゃった!アレレレ、まだ写真も撮っていないのに・・・・・アレアレアレ・・・」っと慌てていると「じゃあ、私が代わりに大根をおろしてあげるから、その間にやることをやって下さい」っとおばちゃん。

完全に主導権を握られてしまった。慌てふためいて写真を撮った。っと、その頃合いを見計らうかのように「大根、この位でいい?足りなかったら更におろして。それでも足りなかったら何本でも持ってくるから」っと、完全におばちゃんのペース。

店主さんは厨房から、それら一連のやり取りを柔和に微笑みながら見ておられた。

そば7
これがこのお店の、そば粉100%のそばです。


柔和で小柄で細くて儚(はかな)げな女性店主さんが打ったとは思えないほど、剛直な蕎麦です。この蕎麦からは、底知れぬパワーを頂ける、そういう感じのパワフルなお蕎麦です。


蕎麦1本1本の幅が不揃いです。でも、そこに野性味を感じます。一本口に含んでみました。確かな蕎麦の味がします。

アップ8
蕎麦に、一部黒い点が見えると思いますが、これはそば殻(から)です。この蕎麦は、蕎麦殻(そばがら)も挽き込んだ”田舎蕎麦”でしょう。


蕎麦の風味を一番感じ取れるのが”田舎蕎麦”です。何時も思うのですが、この田舎蕎麦をいただく度に、高原を吹き渡る一陣の風を感じます。

おろし9
さて、穏やかに進んだのはそこまででした。田舎蕎麦の上に、おばちゃんに手伝ってもらいながらおろした大根をたっぷり掛けました。しかも、大根の辛味は”絞り汁”に流れ出ますから、おろした大根だけではなく下ろし器の底に溜まった絞り汁も残さず掛けました。


やや黒みを帯びた、野性的な”田舎蕎麦”。そしてその上にタップリ掛けられた白雪のような”おろし大根”。綺麗なコントラストを目で楽しんだのはここまで。


蕎麦を一本だけ箸で掬っておろし大根をつけて啜ってみた。「ウッ!・・・・・・・・」声が詰まった。


           ・・・・・           ・・・・・・・・」声が出ない。

かけた10
慌てて”出汁醤油”を掛け回して、焼味のネギも入れて、おろし大根が均等に混ざるように混ぜに混ぜた。


辛さよ!!辛さ様よ!どうかお鎮まり下さい!」っという切ない願いを込めて。


そして恐る恐る蕎麦を食べてみた。その様子を店主さんとおばちゃんがニコニコしながら見ておられた。そういう視線を感じた。


とにかく「辛ーーーーーい!!!!」。しかも、蕎麦を食べ進む内に、あろうことか!舌先が痺れてきた。あの”一天張”さんの”担々麺”を頂いて”花椒”(かしょう)の痺れを味わって以来の経験。


椿神社参道にあるそば屋の名店”無着庵”さんでいただいた、”辛味そば”の辛さより辛い。本物の”辛味大根”を凌駕する辛さだった。


正直に言って、”青首大根”をナメていた。「アオクビ君、ゴメンナサイ」っと、少し頭を垂れた。


出汁”の味で、辛うじて食べ切った。その瞬間だった。店主さんがワタシを見て「辛かったでしょう^^^?」っと微笑まれた。


天使の微笑みだったが、その心根に「だから言ったでしょう!カライって!」という言葉が潜んでいることは分かった。


「夏大根は本当に辛いんです!でもね、これが辛くなければ蕎麦が美味しく頂けない!」とキッパリ言われた店主さんの表情は爽やかだった



「そば湯をお持ちしますから、そば湯で残った汁やおろし大根を薄めて飲んで見て下さい。サッパリしますから」っと。「大根が足りなければ何本でもお持ちしますよ!」のおばちゃんも優しく笑っておられた。

そば湯11
そば湯を、出汁やおろし大根が残った器に注いで飲んでみた。


地獄に仏」・・・・・・・。爽やかさが残った。あれほど暑かった体が、ヒンヤリと冷えているかのようだった。

素人が知ったかぶりをして挑む、無謀さ加減を教訓として得た。


勘定を払ったら、「これからが夏本番ですよ!団扇(だんせん=うちわ)を差し上げますから、暑さを凌いでがんばって下さいね!」っと、おばちゃんに諭された。


今日は完敗だった。ただし心地いい”完敗”だった。


家に帰って夕食時に、冷たく冷やした第三のビールもどきで、お店のお二人に向かって、密やかに”乾杯”した。




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おはようございます♪

フフッ、目に涙して食べたおろしそば、お味は良かった事でしょう(^_-)-☆
こんなに暑いと、冷たい物ばかり食べてしまいますね。

今週いっぱい、長くはお盆までこの暑さが続くとか・・・
辛いものでも食べないと、身体がシャキッ!としませんね(笑)

こんなに暑くてもやっぱり、川へ出掛けないと取材?が出来ないベルさんです(゚m゚*)プッ

今日は

ベル様
最近、ずっと冷たいメニューばかり食べています。確実に食欲は落ちていますが、体重は健在です。^_^;

今日は、日陰は風が吹いていて涼しく感じました。ただし、影がないと、即熱中症になりそうです。しかも、涼しい風も午前中でしょう。

取材の対象が自然ですから、ここまで厳しい気候だと体に堪えますね。ムリしないでおやり下さいね。

No title

ねっ。
夏大根ってメチャメチャ辛い時があるでしょう!
以前私もうどん屋さんで悲惨な目にあったことがありまして。それ以降夏場は警戒することにしているのです。某テレビのお姉さんにも教えてあげないといかんですね。

強烈に思い出していました

ファットマン様

はい、確かに、間違いなく「夏大根は本気で辛い!」でした。
ファットマンさんが、以前このお店の記事でお書きになったことを、痛切に思い返しながら、辛さに耐えました。

正に「侮る事なかれ」ですよね。いやー、正直なめていました。そのバチが当たったのでしょう。これで、自分の見識の如何に頼りないかを思い知らされました。もっと謙虚にならなければいけませんねー!

いい勉強をさせていただきました。ぜひ某アナにもお教えしたい!

お疲れさまでした。

そば町谷の店主(おばちゃん)の旦那です。私は会社員なので日曜日だけ嫁の蕎麦屋を手伝ってます。
おろし蕎麦大変でしたね、わたしも、一杯夏大根をおろして口の中を火傷させた仲間です。
夏ダイコンは青首ダイコンの夏バージョンで、なかなかこれが根性がいってます。夏ダイコンでものたりなかったら 辛み大根を置いていることもあるので、奥の店主に聞いてみてください。・・・これは失敗すると大変なので控えめにしてください。

いつもいつも良いコメントを書いていただいてありがとうございます。
店主は朝5時に起きだして、蕎麦やおでんの仕込みをやってます。
なんとか多くの皆様に召し上がってほしいのですが、女手一つで打っているので、日曜日は2時ころに終わっちゃいます。『そば打ってます』の看板が出れば、また新しい蕎麦をうちます。店主にお声かけをお願いいたします。
今年の夏は異常ですが、お体に気をつけてください。
9月終わりころには新蕎麦が出ますので、またのご来店をお待ち申し上げます。

恐縮です

麻生 周平様

そば町谷の店主さんのご主人様からコメントいただき、恐縮しております。よく、私のブログまで辿り着かれましたね。数多い中で。

さて、今まで二度お訪ねし「本物の味」に舌鼓を打たせて頂きました。最初に玄関に入った時は、正直に言いまして「生粉打ち」って?っと、半信半疑でした。でも、蕎麦を一本、汁を付けずに口に含んだ時、唸りました。とても女性が打たれたとは思えない、しっかししたお蕎麦でした。寧ろ男性的なお蕎麦だと。

そして二度目です。参りました、完全に。痺れました、涙が出そうになる程に。改めて、勉強になりました。蕎麦のことをもっともっと知りたいとも思いました。

新蕎麦の季節には、ぜひお邪魔します。お約束します。そして店主さんに、ご主人様からコメントいただいたことのお礼を申し上げるつもりです。さあて、新蕎麦ですから、今度は「せいろ」にすることに致しますか。コメントありがとうございました。奥様にもお宜しくお伝え下さい。
そして、お盆を過ぎましたが、暑さはこれからも続くことでしょう。麻生様におかれましても、お体にお気をつけ下さい。
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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