「松山市の地名・町名由来」・ 「束本町・樽味町」 33

今日の「松山市の地名・町名由来」シリーズ33番目は、「束本町」「樽味町」の由来をご紹介しましょう。


なお「束本」(つかもと)は下に町が付かない町になり、1丁目と2丁目に分かれています。同じく「樽味」(たるみ)も下に町が付かず1丁目~4丁目まであります。


本日ご紹介する際に”基本資料”として使わせていただいたのは、「ふるさと桑原」と名づけられた”みんなでつくる住みよい桑原地区委員会”が資料を集め編集し、”松山市桑原公民館”から昭和56年3月30日に出版された小冊子です。今までに「桑原町」や「松末町」の時にも使わせて頂きました。


この資料は、久万高原町在住の”兒玉さんご夫妻”にご紹介され、わざわざ小冊子の全部を一枚一枚コピーして頂きました。ご主人は木工作家さん、奥様は漆芸家というご夫妻です。お二人には、再度、深甚なる謝意を表するものです。

束本表示1
まず画像は「束本」を示す表示です。「束本」は、東環状線の両側に広がる町で、人口密集地域の一つです。


この地域は古来(”和名抄”にその名を残している)より”桑原郷”に属していた地域で、古墳群も多く発見されている松山市内でも有数の歴史を持っている地域です。


「桑原町」のご紹介の時にも書きましたが、明治22年町村制施行当時、”桑原村”に収められたもの、桑原、正円寺、樽味、畑寺、三町、新百姓(今の束本)、東野、そし正円寺の旧八ケ村でこれを大字(おおあざ)としました。「桑原」の記事は、今年8月5日にアップしました。(「松山市の地名・町名由来」・ 「桑原」 19


更に昭和15年8月1日に桑原村も廃止され松山市に合併されたという経過をたどってきました。

束本地蔵院2
そして、現在の「束本」の町名由来となったのは、画像の”束本地蔵院”に歴代墓所がある”束本伊兵衛尉藤原秀重”という人で、束本家の元祖となった人です。


この”束本秀重”という人は、元はといえば信濃国(現在の長野県)小諸城主の”仙石権兵衛尉源秀久”の三男で、信濃国高島城主であったといいます。


その”束本秀重”が武田勝頼と戦い敗北させた戦功によって”豊臣秀吉”から”束本姓”をもらい、名を”仙石秀重”から”束本秀重”に改めました。


その後、松山城を建てた”加藤嘉明”の伊予国松山入城に際して、お供として松山に入り、桑原郷の内130石を賜り東野に居住したといいます。

束本地蔵院鬼瓦3
慶長5年(1600年)に加藤嘉明が松前城より勝山本城(今の松山城)へ移るために造営する”瓦細工”の調達を命じられこれを嘉明に奉納したという記録もあります。


その後、寛永12年(1635年)に”松平定行”が松山城主として入城し、また松山城の鬼側に奉納する注文があり、松山城に””(しゃち)を奉納しました。


以降、子孫代々”御瓦師”としてその技術を継承しました。

束本地蔵院鬼瓦4
この”束本地蔵院”の”鬼瓦”と””(しゃち)は、「束本」の町名由来となった”束本伊兵衛”の作とされています。


これは、昭和27年当時、伊台に定住されていた後裔の”束本政重”氏(18代)によって、17代前の”束本伊兵衛”の作であることが確認されたそうです。

束本地蔵院束本家墓所5
この画像が”束本地蔵院束本家墓所”です。


現在も東野でご子孫がいらしゃるそうですが、大変貴重な史料を保存されていて、この地域の、そして松山城築造に関わる記録が残されています。松山市民として、感謝の意と敬意を捧げたいと思います。

樽味バス停表示6
さて、上の画像が「樽味」を示すバス停表示です。


元々「樽味」の名前の由来は、この地域は石手川に沿った地域で土地が低かったことが由来になりました。


つまり、”水の勢いのたるみたるところ”と呼ばれていたことから”垂水”が「樽味」に変わったのです。


例えば、「樽味」の北側に「溝辺町」(みぞのべまち)がありますが、これも石手川近くの地域を意味する”水の辺”(みずのへ)が「溝辺町」に変わったものです。


その他にも、「泉町」「和泉」などは、今でも湧き水が至ることころから出る地域で、そのため”出水”が「泉」になったり「和泉」となったのです。

樽味素鵞神社7
上の画像は、「樽味」にある”素鵞神社”(そがじんじゃ)です。


この”素鵞神社”には、「樽味」の地に残る有名な伝説があります。

樽味月の出石1
それが、この画像です。これは”樽味月の出石”と呼ばれているものです。


何の変哲もない、ただの石に見えます。石といいますか、墓石にも見えます。


もともとこの石は、樽味より東野町への旧道の境界線の小川の橋に掛けられていたそうです。ところで昔、その橋に近い所に地酒が美味しい造り酒屋があって、湯山方面からも馬に木材を積んで新立方面で商売をし、その帰り道にこの樽味に寄って地酒を仕入れて帰っていたそうです。


ところが、当時東野町界隈のこの橋まで来ると、急に馬が立ち上がり暴れだす。

樽味月の出石2
そこで、この橋石を取り替えて、現在の”素鵞神社”に移して、皆んなで参拝するようになったんだそうです。


この石に参拝すると、何でも願い事が叶うとされて参拝客が増えたそうです。


それが画像の”樽味月の出石”です。何故”日の出石”と呼ぶようになったかというと、乾いている時は何でもないただの石ですが、この様に水を掛けて湿らせてやると、中央に直径約15cm程薄黒く浮き上がって””に見えるということからその名がついたとか。


ペットボトルに水を入れ持参し、水を掛けて撮してみました。マルで子供なんです、ワタシ・・・・。

コープ束本店9
さて、最後を急ぎましょう。この地域が如何に古い歴史を持っているかというお話です。


画像は”コープ束本店”です。この敷地の下に、”束本二遺跡”が眠っています。


竪穴式住居跡二棟、土墳四基が発掘で見つかっています。隅長方形の住居址は9mと6.5mありました。

樽味埋蔵物道路10
こちらは、県道東部環状線の樽味付近です。最近急速に商業集積が進んできた地域です。



この地域のことは、2009年11月27日に記事アップしています。(古墳


この道路の下に”樽味四反地遺跡”が眠っています。この遺跡からは、今から約1700年前の、古墳時代初頭の大型建築物の遺構が2棟発見されています。


建物は総柱で床束式の高床構造と考えられ、梁行6間、桁行6間の方形の平面形態で、床面積は160㎡を超えると言われています。


邪馬台国九州説の中心施設と目されている佐賀県の「吉野ケ里遺跡」は156㎡と言われていますから、その規模の壮大さに驚かされます。(前記事より引用)


次回の「松山市の地名・町名由来」の34回目は、「生石町」(いくしまち)と「生石地区」(しょうせきちく)をご紹介します。





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非公開コメント

ありがとうございます!

束本家の事を調べて下さりありがとうございました。
実は 母方が束本姓でして、詳しい話をこの記事を見て初めて知ったんです。
残念ながら 東野の親族も亡くなり、今は大阪の従兄弟が唯一血縁の束本姓です。
本当にありがとうございました。

お役に立たて

あやね様
奇遇ですね。まさか、私のブログが「束本家」の縁に連なる人の目にふれたとは。

そうですか、東野にお住いであった束本様も今は亡き人に。束本家のその後の消息が掴めましたこと、私にとっても得るところ大でした。

人は思いがけないところでつながるものなのですね。

なお、束本家の本家筋が兵庫県豊岡市出石町(とよおかし いずしちょう)に移り、出石名物の「皿そば」の発祥を生みましたことは、私のブログの昨年12月13日に「愛媛県外特別編・山陰」・「愛媛グルメ紀行」 646」として書いております。
合わせてご覧頂くと「束本家」のことが、更に分かると思います。
http://2103center.blog112.fc2.com/blog-entry-1714.html)です。

信州から兵庫と愛媛に根を下ろされました。今日のコメント、ありがとうございました。

ありがとうございます。
出石のお話は全く知りませんでした。一度訪ねてみたいです。

実は束本家に伝わる話があって、仙石秀久の その先祖は
ムカデ退治の藤原田原籐太秀郷と言われています。
これについては 文献も残ってないようなのでよくわかりませんが、面白いですよね。

本当にありがとうございました。

面白いですね

あやね様
重ねてのコメント、恐縮に存じます。

そうですか、「藤原秀郷」が、仙石家のご先祖。面白いですね。どこかでつながっているかも知れないと、思うだけで夢は広がります。

「藤原秀郷」は、中央の人ではありませんでしたが、関東の多くの武家の始祖と言われている人ですね。

武勇の誉れ高い人だったので、伝説も生まれたのでしょう。私は古い人間なので、「俵藤太」のムカデ退治の話しも、お伽噺の一つとして子供の頃より知っています。

そこから下って、松山の地名として今に残る「束本家」の伝承が結びつくとは!

「松山の地名・町名由来」シリーズを書いてよかった!っと思いました。コメントありがとうございました。
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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