「再訪 193 キッチン・スプーン」・「愛媛グルメ紀行」 654

今日ご紹介するお店が、”愛媛グルメ紀行”シリーズの、今年の幕開けです。


その、年の初めにご紹介するお店として選んだのは、久万高原町直瀬(なおせ)にあります”キッチン スプーン”さんです。


このお店は、昨年4月23日に初めてのご紹介をしています。(「キッチン スプーン」・「愛媛グルメ紀行」 514


このお店をご紹介いただいたのは、久万高原町に在住され、ご主人は木工師、奥様は漆師という”兒玉ご夫妻”です。

冬景色1
久万高原町直瀬に向かう途中の風景です。


霜が降り、遠くは霧が立ち込め”冬景色”の様相で迎えてくれました。


予約の電話を入れます。冬の時期は””の心配があります。このお店は、電話予約の時から、既に店主さん兼シェフさんの”おもてなし”が始まります。


昨年話題を呼んだ、あるイベント会場でタレントが笑顔で言った「オ・モ・テ・ナ・シ・」という程、浮ついたものでも軽いものでも言葉だけでのものありません。ホンモノの”おもてなし”です。以下にその内容をご紹介しましょう。


「Hさん、お久しぶりです、ご予約ありがとうございました。先ず””についてですが、ご予約頂いた日の午前10時までに、私が一度”直瀬”から国道33号線まで車で走ってみます。」


「そこで、””が降っていて、車でお越しいただくのは危険と判断しましたら、Hさんの携帯電話に午前10時にお電話差し上げます。電話がなければ安全とお考え下さい」っと、天使の囁(ささや)きのようなお声でおっしゃいます。


店主さん兼シェフさんは、お客さんAではなく、必ずお客さんの苗字で呼ばれます。(予約なしで初めてお店に行かれた方をどう呼ばれるのかは、わかりません)

玄関2
こちらがお店です。お店は道路よりやや高い所にあって、眼前に”直瀬”の自然が広がっているというロケーションです。


キッチンスプーン”さんの女性店主兼シェフさん、御自身でも”ブログ”を書いていらっしゃいます。(Kitchen spoon blog


その”ブログ”の2013年12月1日の記事で「加藤さんの服」という題名の””を綴っておられます。一度その””を読んでいただければ、店主”姫野”さんの瑞々しい感性を感じ取ることができると思います。


このお店は「(直瀬の) 山の恵みを あるがままの ひと皿に」という思いを込めて開かれました。
(  )内の言葉はワタシが付け加えました。


このお店の左手にある”小窓”。前回訪問した時、私はこの小窓で感動の極みに追い込まれました。そのシーンを、今でもアリアリと覚えております。(前回記事をご参照頂ければ幸いです)


まるで、”映画のラストシーン”の様な情景がそこに展開されたのです。今回の訪問は、その”ラストシーンの続編”です。

外コーヒー3
お店には、天候の急変のことなども想定し、やや早めの午前11時に到着しました。


姫野さんは、まるでワタシが昨日も来ていたかのような”笑顔”を浮かべられ「Hさんようこそいらっしゃいました!Hさん、私今から丁度コーヒーを飲みたいと思っているんですが、ご一緒に飲んで頂けますか?」っと。


ええ、喜んで!」っと答えたのは言うまでもありません。そしてこう付け加えました。「姫野さん、今日はこの時間、珍しく外が暖かで、お日様も微笑んでいるようです。そのコーヒー、外のテラスで頂いてはいかがでしょう?」っと。


ええ、いいですね!私、こういう季節の”陽だまり”でコーヒーを頂くのって大好きなんです」っと、外のテラスに出られました。


2人でコーヒーを飲みながら、自然と人との関わり、環境のこと、人と人の縁が紡ぐ幸せ、チベットの話など、話題は多岐に渡り尽きることはありませんでした。


コーヒーカップを御覧ください。決してお客様用のカップではありません。このコーヒーを楽しむ時間帯は、店主さんと客という立場ではないことを、このカップにさり気なく込められている、そう感じました。

てんとう虫4
テラスとお店の中との間の厚いガラス窓に”てんとう虫”さんがやってきてくれました。てんとう虫さんがとまっているガラス窓に反射して写っているのは、外のテラスです。


姫野さんは、食事の準備に厨房に戻られました。外で一緒にコーヒーを頂いた時間は30分位でしたが、すっかり”直瀬”の自然の空気や陽だまりの暖かさを満喫出来ました。


2人で外のテラスに出た時に、姫野さんはこう言いました。「Hさん、このお店は午前11時からです。でも、11時にいらっしゃって頂いたお客様、果たしてその時刻にお食事をなさりたいのかしら?まだお腹は減っていらっしゃらないのじゃないか?って思ったんです」


「そこで、午前11時にお一人でお店に来て頂いたお客様で”いいよ!”と言って頂いた方とは、コーヒーをご一緒していただこう!ってこう思ったんです。私はコーヒーが大好き。でもお食事の準備に一段落ついて、コーヒーが飲めるってこの時間になっちゃうんです」っと。

メニュー5
こちらがメニューです。昨年春にお伺いした時は、”ランチメニュー”をご用意なさっていましたので、そちらをいただきました。


でも今はお客さんも増え、お昼にゆっくり”ランチメニュー”を、という時間的余裕が無くなったそうで「冬の、雪が積もっている頃、やはりお客様の数が減ります。その時にはまた”ランチメニュー”を復活させよう!って、そう思っているんです」と、姫野さん。


ワタシの後から、1組のご夫婦と一組の子供連れのご夫婦がお店に来られました。


注文したのは”冬のごちそう ライスグラタン”、お値段1000円です。サブタイトルに、「豆乳と米粉のホワイトソース 8種野菜とお米のチーズグラタン」とありました。

薪ストーブ6
この地域では、画像の”薪ストーブ”は必須です。このお店は、2012年9月に開店なさいましたから、開店後1年を越えたばかり。


「最初の冬を超す時でした。まだ”薪ストーブ”の使い方を知らなかったんです。長くここに住んでらっしゃる方は、ストーブで燃える炎で薪の状態が分かるんです。でも、その時私はまだ薪に火をつける、点け方さえ分からなくて」っと姫野さん。


「雪が積もっている日に、ご近所の方が<オーーイ、生きてるかーー?>って訪ねていただいたこともあったんです」っと、言いながら”薪ストーブ”に薪を入れ、火をつけられました。


その話を聞いて、父が凍てつく大地”大野ヶ原”で『零下十三度』という詩を詠んだ時のことを思い出しました。(「父を偲ぶ」 1

ライスグラタンセット7
さて、これが「豆乳と米粉のホワイトソース 8種野菜とお米のチーズグラタン」というサブタイトル付きの”冬のごちそう ライスグラタン”です。


8種野菜です。蕪(カブ)、長芋、ゴボウ、人参、ジャガイモ、かぼちゃ、蓮根(レンコン)、小松菜、長ネギ、白いんげん豆と黒豆(鞍豆とも言うそうです)っと、少なくともワタシが確認できただけでも8種を遥(はる)かに超えています。


このメニューにつきましては、姫野さん御自身がブログでその詳細をご説明なさっています。(ごちそうライスグラタン)手間暇が掛かっているのです。


お米は毎朝5分つきに精米して、雑穀といっしょに炊いてあります。野菜にしても、それぞれの素材の味をギリギリまで引き出すために丁寧に下処理をされています。


蒸焼にされたり、油で素揚げされたり、塩茹でされたり、オイル煮されたり、素材の持味を知り尽くしていなければ出来ない下処理です。

ライスグラタン8
最初の頃はね!」っと、姫野さんは話されます。


「8種野菜のバランスとかを考えていたんです!ところが、旬(しゅん)のものを使うと自然とバランスが取れることに気がついたんです」っと。


「レンコン以外は、ぜーーーんぶ、直瀬で採れたものです」っと天使の笑顔。


まだチーズが「フツフツ フツフツ」と音を立て、湯気が立ち上り、チーズの香りが辺りに充満します。ライスグラタンにスプーンを入れる前から、「ご馳走様!」って言いたくなるんです。

山芋9
こちらは、香ばしく焦げたチーズから取り出したばかりの”根菜類”、ひょっとしたら”山芋”かも知れません。


それぞれの食材に固有の、適度な硬さや柔らかさが見事に表現されています。形も色も、持ち味のままです。


この”根菜類”は、やや歯応えがあるくらいに固茹でされていました。でも、地下に根を這わせて、大地からたっぷりの養分を私達に伝えてくれる役割をシッカリと果たしてくれています。


豆乳と米粉のホワイトソース”が、マッタリと絡んで、ウフフフ  ウフフフ・・・・自然に笑顔がこぼれます。

ネギ10
こちらは、”長ネギ”の根本の部分。


ちゃんと、事前に焼かれて”ネギ”本来が持っている甘さをギリギリまで出し切られました。


フーフーと息を吹きかけながら歯を立てますと、何層にも重なったネギの繊維がヌルっと層の上下が入れ替わって、ネギの甘味が口中に充満しました。

小松菜11
この”小松菜”の瑞瑞(みずみず)しさを、まあご覧になって下さい。


”小松菜”は、そのシャキシャキ感を残すために下処理として”塩茹で”されています。もちろん、”小松菜の緑”を活かすためでもあります。


焦げが香ばしいチーズの下に、豆乳と米粉のホワイトソースが層厚く盛られていますが、その下からこんなに””が映える葉物野菜が顔を出すと、誰が想像できるでしょう?


まるで、春先に地表を突き破って新芽を力強く伸ばす”フキノトウの緑”ではありませんか。(緑色の種類は多少違いますが)

豆12
「私、お豆さん、だーーーい好きなんです!」っと姫野さん、微笑まれました。


そのお豆さん、本日は”白いんげん豆”と、”黒豆”(馬に付ける鞍に形が似ていることから”鞍豆”ともいうそうです)が、それこそゴロゴロ状態で入っています。


完食しました。満足し切りました。一体どれほどの微笑みを与えて頂いたことか。お勘定をして、お店の外に出ました。お勘定を済ませた時、姫野さん、ワタシの手にご自分で焼かれた”スコーン”を1個、そっと手渡して頂きました。


また、”あの小窓”から満面の笑みで手をふられるのだろうか?っと、期待して車をスタートさせました。ところが、あの”笑みの小窓”は開きませんでした。


後2組のお客さんが残っています。そういう時は無理もないだろうろと、お店を離れようとしたその瞬間でした。


何と、身を乗り出すようにして両手を大きく振って満面の笑みをたたえた姫野さんが、コーヒーをご一緒したあの”テラス”にいるではありませんか。


映画のような”ラストシーン”は、まだ終わっていなかったのです。お店に入ってから、全身でお見送りをされる姫野さんの姿を目にするまでの2時間10分、文字通り”至福の時”でした、”朱雀の味”でした。


姫野さんのおもてなし”は、余韻付きだったのです。




にほんブログ村 地域生活(街) 四国ブログ 松山情報へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

今年もよろしくお願いします

新年明けまして おめでとうございます。

今年もよろしくお願い致します♪

このグラタン!! そそられます~♪ 

キッチンスプーンさん 今一番行ってみたいお店です。

このグラタンが あるうちに 行けたらよいのですけれど^^

こちらこそ

のしうめ様
あけまして、おめでとうございます。

こちらこそ、よろしくお願い致します。

このキッチンスプーンさん、是非に是非にお薦めです。ワタシのこの記事に、キッチンスプーンさんご自身のブログのURLを貼っていますので、そちらから入って、電話で予約なさることをお勧めします。

真の、心の「おもてなし」とはこういうものなんだ!っていうことを気付かされます。もちろん、お料理のレベルも一級品です。

また、リポート楽しみにしています。

ステキですね♪

じゅんさん、こんにちは(^^)

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます(^^)
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます(^^)

久万高原町へなかなかお邪魔する機会がないのですが、
じゅんさんの記事を拝読しておりましたら、お邪魔したい熱がフツフツと(^^)
雪が落ち着いた頃にお邪魔しようかと思います(^^)

映画のような素敵な空間。
オーナーさんのお人柄ですね(^^)
私もそうならねば♪(^^)

頑張ります(^^)

あけまして

みゆ様
こちらこそ、申し遅れました。

遅がけながら「あけまして、おめでとうございます。」今年もよろしくお願いします。^^

このキッチンスプーンさん、是非にとお薦めしたいお店です。このお店に行きますと、「時間」を楽しむこと、それがどれだけ貴重な喜びにつながるか!を実感出来ます。

これからしばらくは、天候条件が整いませんが、暖かくなったらどうかお訪ね下さい。

そしてそのリポートを心待ちに待っております。^^
コメントありがとうございました。
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード