「再訪 241 いよ翁」・「愛媛グルメ紀行」 743

今日は、中予地区のそば屋さんの中では名店中の”名店”、伊予郡松前町鶴吉にある”いよ 翁”さんの三度目のご紹介です。


初めてこのお店をご紹介したのは、ワタシが”愛媛グルメ紀行”というシリーズを書き始めてまだ19店目の、2011年3月24日のことです。(「いよ翁」 真っ当な「B級グルメ店」⑲


再訪したのは2012年7月20日でした。(「再訪5 いよ翁」・「愛媛グルメ紀行」 336

お店1
これが、松前町鶴吉の田園地帯に佇(たたず)むお店の景色です。当日は久方ぶりの本格的雨模様でした。(実際に訪問したのは5月12日)


蕎麦の世界でのある意味求道者でもある、そば屋””(おきな)店主の”高橋邦弘氏”のお店や、高橋氏のお弟子さんたちが作るお店は、決して一流立地など求めません。


お店を探して探しぬいて、やっと辿(たど)りつけた。そういうお客様に、自分が求め続けてきた”蕎麦”を静かにさり気なく供せられます。

店内2
当日、まだお昼前の時間帯でしたから先客は2組でしたが、正午を回りますと何時とはなしにお店は客で埋まります。


通りがかりに見つけて寄ってみた、或いは何となくやって来たなどという客は一人とていません。


店主””苫居(とまい)”さんが、丹精込めて打った”おそば”をいただきたいと、ただそれだけを願って集まったお客様です。


平日であろうが、雨が降っていようが関係などありません。松山市内他から、わざわざお訪ねするのです。

メニュー3
美味しいお店だということは十二分に分かっていて、何故前回訪問が約2年前なのか?


それは”愛媛グルメ紀行”が、延べ700店を越えるまでは、① 同じお店は4回までしか紹介しない、② 同じ店であれば同じメニューは紹介しない、という自分が決めたルールに拘っていたからです。


でもそんな自主ルール、何の意味もないことにやっと気が付きました。今では、思いつくまま・感じるままに綴ることにしました。


さて2年ぶりにお店を訪れてみて、驚いたことがありました。それは”メニュー”の幅が広がっていることでした。嬉しく思いました。

鴨せいろ4
ワタシが注文したのは”鴨せいろ”です。お値段は、さすがにお高く1350円です。でも国産そば粉を使い、クイチ(そば粉9:小麦粉1)で打っておられます。当然といえば当然の価格。


ざる”の上にそばが乗っていて、なぜ”せいろ”というのか?


それらの説明は、以下の記事をご参照下さい。(「再訪6  味彩そば 菊音」・「愛媛グルメ紀行」 337)”蕎麦の歴史”を丁寧に説明しておりますので。


さて”鴨せいろ”をご覧下さい。これを”端正な顔立ち”とワタシは言います。左側の椀の中に、”鴨汁”が入っています。


ワタシは正統派そば屋に行った時だけ、”大食漢”ににわか変身します。”せいろ”は2枚、いただきました。

そば5
2枚”と言っても、1枚の量がこれだけですから、量的にはたかが知れています。


ワタシは、学生時代東京に4年間暮らしていたことがあり、就職後も関東へは再々出張する機会がありましたから”関東のそば”の味(出汁の味も含めて)が”三つ子の魂”的な水準になっています。


うどんの出汁などは、甘くても一向に差し支えない(むしろ甘い方を好む)のですが、蕎麦の蕎麦汁(そばつゆ)だけは、キリリと辛いものを好みます。


そして”そば”の”種もの”(具材が付いているもの)に於いては、”そば”と””(鴨と言っても、真鴨とアヒルの交雑種の”合鴨”)との相性が一等だと思っております。

そばアップ6
この気品高い”そば”を、とくと御覧ください。打たれ供せられた”そば”の周りは、一種の静寂に包まれています。


人の喉を通るまでのひと時、「高原の空気を思い出しておく」かの如くです。


何も付けずに、そばを一本箸で掬って口の含んで見ました。”青く香る”。

鴨汁7
これが”鴨の抱き身”から滲み出した、旨味の凝縮した脂です。以前にも書きましたが、”鴨の抱き身”とは”合鴨の胸肉”で、柔らかく脂身が多くジューシーです。


この”鴨汁”が”鴨せいろ”の味の方向性を決める決め手です。


そば”は、江戸時代、ある種の”救荒食”(きゅうこうしょく)の役割を果たしていました。”救荒食”とは、飢饉などに備えた備蓄食料を言います。


そば”は、高知(高い地域)でも痩せた土地でも育つ植物だからです。


そこで、たまに猟で捕った”真鴨”が手に入りますと、普段は”味気がない”そば”を食べていた人たちが、そおっと”真鴨”を加えて宴を催すのです。ささやかな贅沢でした。

鴨肉8
これが”鴨肉”です。(鴨の抱き身)どうです!唾液が出てきませんか?


好き好きですが、”種ものそば”を代表する”そば”は、”天ぷらそば”と”鴨南蛮”でしょう。東西の両横綱格とも言えるも知れません。


ワタシは間違いなく”鴨南蛮”(かもなんば)、或いは”鴨せいろ”を採ります。

そば湯9
こちらが最後に供せられた”そば湯”です。”蕎麦汁”と”そば猪口”と、薬味です。


それ以外に、当然”そば湯”が入った朱塗りの”湯桶”(ゆとう)が並んで供せられています。


2回から3回に分けて、その都度薬味を加えながら、”蕎麦汁”の”出汁”をユックリ楽しみます。

そば湯椀10
これが”そば猪口”(そばちょこ、若しくはそばちょく)に入った、蕎麦汁とそば湯と薬味です。


このお店の”そば湯”には、そば湯にややそば粉を追加されたものかも知れません。(確認できていません)


何れにせよ、このところ急に忙しくなって心身ともに疲れ切っていたワタシにとっては、この日の雨の様に、ここの”おそば”は、心と体の”慈雨”(じう)になってくれました。



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プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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