「ジャックと豆の木」・「愛媛グルメ紀行」 806

今日は、久しぶりに”銀天街”を歩きました。この界隈を歩いていたのは、一体何年前だったでしょうか。


その銀天街の市駅寄り湊町4丁目にある”洋食屋”の老舗、”ジャックと豆の木”さんをお訪ねしました。


銀天街にあった、様々なお店を果たして覚えているだろうか?そういう気持ちを持ちながら、少しブラブラしてみました。

玄関1
こちらが、銀天街の通りの北側にあるお店の入り口です。そのお店は2階にあります。


この通りを歩いていて、ふと思い出しました。それは今から41年前(昭和48年)に、ワタシはこのお店から歩いて僅か3~4分の所にあった会社(今は移転している)に入社し、新入職員として社会人の第一歩を刻んだ地域でした。


ところが、その当時あった銀天街の馴染みだったお店が、もうほとんど見当たりません。


お店の内容や業態が大幅に入れ替わっただけでなく、昔からあったお店も、”お店自体が年をとった”ことを感じさせる佇(たたず)まいに変わっていました。


そうです、”銀天街”という街自体が一種の生命体で、成長と老化を同時並行させながら大きな変容を伴ってきていることに気付かされました。

店内2
でも、一歩店内に入れば、20代前半当時の自分に返ったような、不思議な感覚をもたらしてくれました。


店内は、当時の店作りに流行った、やや薄暗い空間と余裕をもった低い椅子とその配置。そして店内のBGMは、お決まりの”ジャズ”ですよ。


古いオーディオ装置が今も健在で、壁掛け式の大きなスピーカーからは、”リー・モーガン”のスタンダード・ナンバー”ザ・サイドワインダー”や、”ミルト・ジャクソン”の”ビブラフォン演奏”が流れていました。


ワタシはその頃、一端(いっぱし)の”ジャズ青年”でした。まだ”LPレコード盤”全盛の時代です。その頃集めていた”ジャズのジャケットナンバー”は、今は自宅の押入れの中。

メニュー3
注文したのは”ビーフシチュー”単品。お値段1100円(内税)です。


ワタシはカウンター近くの禁煙席に案内されていましたので、近くに居られたオーナシェフの奥様に少しお話をお伺いすることができました。


このお店を開店されたのは昭和51年と言いますから、今年で”38年目”を迎えられました。開店日まで正確に言っていただきました。


「なぜ私が開店日を覚えているかと言いますとね、次男が生まれた年なんですよ。その頃長男はまだ1歳。年子で生まれたので、2人を保育園に入れてお店をやり始めたんです」っと、回想なさいます。


「その頃は、この辺りも”プランタン”さんとか”ジロー”さんだとか、色々なお店が銀天街の中にもありました。でも、今はウチが残っているくらいになって・・・・・」っと奥様。

ビーフシチュー4
これが”ビーフシチュー”単品で、ご飯とサラダは付いています。


「ええ、当時からのお客さんも多くて、その方々や、遠くに行っていて松山に帰ってこられたお客様から、<少しでも長く頑張って!>って言われるんです」っと、回想は続きます。


「でもね、あの頃1歳だった長男は神戸の方で”洋菓子店”を開店したんです。もう松山には帰ってこないと・・・。そして、生まれたばかりだった次男は、エエ、今は銀行に入って、何度説明を聞いても分からない海外関係の仕事をしています」っと、嬉しさ半分、寂しさ半分のお話でした。


「だから、私達の代でこのお店も・・・・・・・」っと、その後が続きませんでした。

サラダ5
お話をお伺いして、このお店はこのお店なりの歴史を刻んできて、今ここで営業を続けておられる。でも、それには、時間の経過という壁が立ちはだかっている。


そして、このお店に昼となく夜となく集ったお客さん達も、このお店を”舞台”に借りて、様々なドラマを繰り広げてきた。


そういうい店、こういう”老舗”に属するお店には、このお店の階段を昇り降りした全てのお客さんの数だけの”ドラマ”が凝集されて今の”空間”が存在しています。


「誰と、どの席で、どういう話をしたのか?その話は、人生にとてどういう意味があったのだろうか?」と。


このお店は、単に食事を楽しむだけではなく、そういう時の重みを噛みしめるお店でもあるのではないかと感じました。

ビーフシチュー6
さあて、これがこのお店の”看板メニュー”でもある”ビーフシチュー”です。


オーナシェフ”渡部”さんの手によって、20キロの牛肉が一度に仕込まれます。牛肉に赤ワインとトマトを加え、ジャガイモ、人参、セロリ、タマネギなどの”香味野菜”を加えて”ブイヨン”で長時間煮込んであります。


決して”作り置き”はなさいません。お客さんの口にはいる時が、ベストの状態になるように煮込んで仕上げてあるからです。

ビーフシチュー7
ビーフシチュー”の美味しさの元になる”ブラウンルー”がタップリと回し掛けられていて、その上に酸味香る”サワークリーム”が、これまたタプリと掛けられています。


小麦粉とバターを茶色になるまで炒めて作る、その深い茶色が”ブラウンルー”の特徴でもあります。これに香味野菜・香辛料・トマトなどを加え、煮込んで作るソースが、”ドミグラスソース”の元になります。


極論を言えば、”洋食屋”さんは、上に書いた”ドミグラスソース”一本で勝負なさいます。それだけ、手間暇と情熱の全てを注ぎ込んだお料理が目の前に!

ビーフシチュー8
さあ、これが”ビーフ”ですよ、”ビーフ!”。ええ・・・・・・・”牛肉”ですよ。久しぶりに肉にありついた。


使われている部位は、”すね肉”だろうか?それとも”ばら肉”か?何れにせよ、長時間煮込んであるので、肉の繊維が”解(ほど)け”ます。ハラリと、口中で”解(ほぐ)れ”ます。


ビーフシチュー”は、ブラウンルーを飲むのではなく、飽くまでも主役は”牛肉”です。”ビーフ”自体を喰らうお料理です。


ビーブ”が柔らかくなっていて、口の中で解けますので、どんどん食が進みます。これに合わせた”ご飯”が旨い!


ブラウンルー”の奥行きのあるソース味に、”サワークリーム”という酸味のある発酵食品が掛けられているので、味に立体感がある。

ポテト9
こちらは、付け合わせの”ポテト”です。櫛切りされていて、ちゃんと焼いてある。


ですから、ホクホクです。しかもブラウンルーがマッタリと掛かっているので、高級食材に様変わりいている。


その他の付け合せ、”ブロッコリー”と”人参”も、色合いと言い、それぞれが持っている味と食感が活きています。

完食10
かくして、あっという間に”完食”です。


これでご飯ではなくパンを選んでいたら、ソースの一滴までパンで拭って、皿を真っ白にしていたでしょう。


ご飯でしたので、仕方なくスプーンで拭いに拭ってソースを舐め取りました。お行儀がどうの、と言っている場合と味ではないのです。


こういう”街の洋食屋”さんは、地域で働き続けてきた体と心を支えて頂いた大切なお店です。一日でも長く、その味を、空間を提供し続けていただきたいことを願ってやみません。



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プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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