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「再訪 377 キッチンスプーン」・「愛媛グルメ紀行」 1,013

今日は、上浮穴郡久万高原町の直瀬(なおせ)にある洋食レストラン”キッチン スプーン”さんの3度目のご紹介です。


過去2回は、以下の通りです。(「キッチン スプーン」・「愛媛グルメ紀行」 514)・(「再訪 193 キッチン・スプーン」・「愛媛グルメ紀行」 654


このお店はワタシの大好きなお店で、”愛媛グルメ紀行延べ1,000店記念号”の、”大好きなお店・10店”の中でも採り上げた通りです。(「1,000号になりました <後編>」・「愛媛グルメ紀行」 1,000

お店1
この日は、妻が家に帰りたいと駄々をこねて、その対応に、持って行き場のない”辛さ・悲しみ・苛立ち”を抑えきれない日でした。


妻の入院も2ヶ月と2週間を超えた頃でした。(実際にお訪ねしたのは、10月16日)本人の家に帰りたいという気持ちは、それは痛いほどよく分かります。でも”リハビリ専門病院”に転院してまだ11日目でした。


妻のリハビリは順調に進んでいましたが、まだ自分では立ち上がれませんし、白内障で失明同然という状態でしたので、家に帰るなんてとても考えれない頃でした。でも妻は「家に帰りたい!もう病院は厭だ!」って言う感情で、妻の”ストレスは爆発”しました。


ワタシの娘より年が若いソーシャルワーカーの女性スタッフに相談し、「今後のリハビリに支障が出るほどに、奥さんのストレスが溜まっていると判断したら、主治医に一時外出・一時外泊を相談してみましょう」っと言って頂きました。

店外2
こちらは、久万高原町の直瀬にある可愛らしいお店のテーブルから、”直瀬”の風景を見た画像です。


先ほどの続きです。妻も、自分が言っていることが難しいことだとは分かっているのでしょうが、ストレスの発散先はワタシしかいませんから、全部ワタシに感情毎ぶつけてきます。


妻の気持ちも分かる、でも帰宅できる状況に無いのは明らかです。妻の希望をダイレクトに叶えてやれない”辛さ、やるせなさ”に”心が張り裂けそう”になっていました。ワタシ自身の”心が折れそう”になっていた時でした。


そういう時でした。ここは気分転換に思い切って久万高原町の、秋の”澄んだ空気”を吸いたいと思いました。そして”キッチン スプーン”さんで、直瀬の自然に満ち溢れたお料理を頂きたいと思って、このお店をお訪ねしました。完全予約制ですので、事前に電話すると、店主の姫野さん、ワタシを覚えていらっしゃいました。

ご汁3
そこで久しぶりにお店をお訪ねし、姫野さんに「今は”食欲が極度に落ちている”ので、食べ残すかも知れないのですが・・・・」ってお断りを先に言いました。


すると店主兼コックさんの姫野さんがこうワタシに提案されたのです。「Hさん、もし良ければ、Hさんの様に食欲が落ちておる方向けの”特別なメニュー”をお作りしましょうか?」


「Hさん、今日は私に、”1時間半だけお時間を頂きたい”のです。Hさんのお食べになる表情や様子を拝見しながら、”Hさんに合ったお料理”を作ってお出ししたいので!」っと。


ワタシは既に延べ1,000店以上のお店を廻って記事にしてきましたが、”お客さんの体調に合わせてメニューを考えて出す”、というお店は初めてでした。


「Hさん、このお料理は”ご汁”と言って、”茶大豆”の湯がき汁です」と姫野さんが言われたものが、この画像の料理です。


ご汁”って、美味しくって昔懐かしい味でした。姫野さんは「昔、台所に漂っていた香りと味」だと表現されましたが、正に言い得て妙でした。

蕪大根ツルムラサキ4_convert_20151016200045
次に出されたものを、姫野さんはこう説明されました。「自然農という無農薬で育てられた野菜です。””(かぶ)と”大根”と”ツルムラサキ”です」っと。


”(かぶ)が旨い。やや固めに湯掻いてあるので、歯応えがいい。”大根”は逆に、柔らかく煮てあって、昔の苦い大根の風味に涙が出そうになった。


ツルムラサキ”も湯掻いてあって、ツルムラサキの葉の食感にややヌメリがあって、面白い。

茶豆のポタージュスープと茶豆と自家製全粒粉パン5
こちらは、”茶大豆のポタージュスープに茶大豆”、それに全粒粉を使った固めの”自家製パン”です。お土産といいますか、妻への見舞いに一斤を頂きました。慈(いつく)しんで頂きます。


茶大豆のポタージュスープ”の濃厚な味に感動させられた。ポタージュスープの上に乗っているのが”茶大豆”で、もちろん地元直瀬で採れたもの。


この”茶大豆のポタージュスープ”を”全粒粉を使った自家製パン”に塗って食べると、”大地丸ごと食べている”ような気持ちにさせられる。力強いんです!

はやと瓜6
この画像も、地元直瀬で採れた”はとや瓜”。さっと湯通しされて出された。


初めて目にする野菜だった。と言うか、この日出された野菜の殆どが、初めて目にするもの。ここに来ないと、決して食べることが出来ない野菜の数々に、目を見張った。


この”はとや瓜”、実に爽快な香りがしますし、”シャキシャキ”の食感が新鮮さを物語っています。それに姫野さんの、コックさんとしてのセンスが光っています。それぞれの素材の特性を丸ごと引き出すための調理法が素晴らしい。

チェルシーとチェルシーを漬け込んだ水7
皆さん!これも”堂々としたお料理ですよ!!


これは”チェルシー”という万能の薬効がある”ハーブ”(インドなどで健康の源として重用されているそうです)を、”お水”に一日漬け込んだものです。


つまりこのお料理は、”チェルシー”の香りが移り香した”お水”そのものが、”お料理”なんです。見たこと・・・・・ありますか?とっても爽やかな香りに癒やされました。持って行き場のないワタシのこの日の心が、次第に解(ほぐ)れていくことを実感していました。

擦り潰した里芋と大根葉と大根と紫蘇の実8
「Hさん、まだいけそうですね!」っと、”マリア様”のような、或いは”モナ・リザの笑み”をたたえた姫野さんから、お声が掛かりました。


「姫野さん!実に不思議に思っているんですが、今日は何だか幾らでもいけそうに思えているんです!」って応えました。


そこで出されたのがこのお料理です。それは”里芋”を捻(ひね)り潰(つぶ)したものに、”大根”と”大根葉”を刻んだものに”紫蘇の実”がチョコンと乗せられたお料理です。


里芋”を湯掻いたものですから、ネットリ感があります。そこに”大根”自身のコリッとした食感とほろ苦さ、それに”大根葉”の持つ食感が加わっています。おまけに”紫蘇の実”の風味が効いているんです。


どの食材も、少量ですが、どれ一つとっても無駄な食材はありません。それぞれがそれぞれの持っている存在感を、姫野さんの調理センスでギリギリまで引き出されているのです。


調理というものの本質は、大向こうを唸らせる華麗な食材を使って、調味料と加熱等の技量で食材をねじ伏せること、それがコックさんの”技量でであり存在感”だという捉え方もあるでしょう。


一方このお店のコックさん、姫野さんのように(大阪の辻調理専門学校出身の専門のコックさんで、様々なお店の調理場で技量とセンスを磨いてこられました)、お客さんの体調に合わせて、その表情を観察しながら即興(アドリブ)で、その人のその時の状況に最適な食材を選び、その食材の持ち味を最大限引き出すことでお料理の”醍醐味”を表現される。


ワタシはこの”姫野”さんの”調理観”に、心の底からうたれました。こういうコックさん(調理人)に、初めて出会いました。この”姫野”さんの”調理観”を、実は”姫野”さんの今後の人生設計に色濃ゆく反映したいと、壮大な構想を持っておられることは、食事が終わって2人で話した1時間半で語り尽くされました。


このお店に入って、特別のお料理を頂き、お互いの今後の”人生設計”を2人で膝つき合わせて熱く語り合った。その全部の時間は”3時間10分”に及びました。

玄米と自家製梅干しと茗荷の紫蘇漬けと大根おろし9
「姫野さん、ワタシもっともっとこのお店のお料理を頂けそうな予感がします。自分でも不思議に思うのですが、食欲不振なんて、吹っ飛んじゃいました!」って話しました。


「Hさん、私大変嬉しいです。Hさんの表情を拝見していると、何だか”元気に満ち溢れてきた”、そういう変化を目の当たりに出来ました。では最後にHさんに食べて頂きたいお料理を出します」っと言って出された”〆のお料理”がこの画像です。


これは”無農薬の玄米”を炊いたものに、”自家製の梅干し”を潰(つぶ)したものを入れ、そこに”茗荷(みょうが)の紫蘇漬け”。更には”紫蘇の実の塩漬け”を、適宜自分に合った味にまぶして頂きます。


「姫野さん!”茗荷の紫蘇漬け”ってこんなに甘かったんですね!」っとワタシが感嘆すると、姫野さん「自家製梅干しとのバランスですね!」って、さり気なく味のバランスのポイントを明かして頂きました。


「Hさん、この””ですけど、これは京都の作家さんに焼いてもらったものですが、我が家では誰かが体調を崩しそうになると、必ずこの””で食べるんです。すると、不思議なのですが、必ず元気になるんです。この””でHさんに食べて頂きたくって、この”お料理とこの器”を選びました」っとは姫野さんです。


この””は、あっという間に空っぽになりました。「Hさん!ここまで綺麗に全部食べて頂いて、コックとしての私も嬉しいです!」っと姫野さん。

トンボ10
他に一組、お祖母ちゃん、娘さん、お孫さんのお客さんがおられましたが、ワタシより早く食事を終えられお店を出られましたので、お店に残ったのはワタシと店主さんだけでした。


食事に1時間半、食事が終わって2人で話したのが1時間40分。合計3時間10分の、濃厚な時間が流れました。その間、ワタシが食欲不振に陥った経過などをお話しましたし、姫野さんは、これから先7年後の夢、”キッチン スプーン”の通算10年後の壮大な夢といいますか、”人生設計”を熱く語って頂きました。


お互いの”人生観”や”生死観”に”共鳴”できる部分が見いだせた3時間10分でした。これで明日からの妻への寄り添いにも大きな力を得ました。


テラスの外に出てみますと、”秋のトンボ”が舞っていました。この画像は、一瞬のトンボの生態を切り取ったものです。久万高原町直瀬はこれから一気に冬を迎えます。


季節の移ろいとともに、美味しいお料理を堪能し、更にはお互いの”生命に対する価値感”など、心の壁を取り合って話した時間を過ごすことが出来ました。


お店を離れるとき、あの”感動の小窓”で笑顔一杯に手を振り続けていただいた姫野さんの姿をバックミラーで追っかけながら、直瀬を離れました。






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有り難いお店

じゅんさん、おはようございます。今日から又〜復活します。宜しく❗️しかし、このお店の店主さんの心配りには〜感謝しかありませんね。これも、私が思うには〜じゅんさんと店主さんとの信頼関係があればこそだと思います。私が凄いと思った事は、じゅんさんの体調を言葉を交わしながら〜瞬時に、自分で察してどの様な料理を出せば〜じゅんさんに良いか❓そして、気持ち良く召し上がってもらえるのか❓という判断ですね。じゅんさん、こちらの店主さんの洞察力をどう体感されましたか。このときは、じゅんさんは心も躰も〜疲れきっていた時ですよね。人の有り難さをしみじみ痛感された事でしょうね。このお店に行くのであれば〜少々の距離なんて、気にならないでしょうね。それに勝る癒しを与えてもらえるのですから❗️こういうお店が有る事が、「 じゅんさんの財産ですね。」さあじゅんさん、奥さんの目の手術〜もうすぐですね。今日も、明るく元気に〜頑張りましょう❗️

復帰

むらちん様
復帰、どうもありがとうございます。
今妻の病室からです。朝ご飯が終われば、妻の目の手術の為に、二泊三日の転院です。

このお店の気配りやお客様への深い配慮には、感動、感激しました。この様な経験は初めてです。いいお店、最高のシェフさんと知り合えました。このお店で頂いた勇気を持って、今日の妻の手術に寄り添います。
コメントありがとうございました。

ありがとうございます

猪川様
初めてのコメント、ありがとうございます。

確かに稀に見る世間知らずです。15歳の時私と出会って、それ以降私を通して世間を見ると言う生活でしたので。
でも、今回書いて頂いた通り、いい経験を積んでいます。災い転じて福となす、そうありたいと思っております。

名前は知っていました

こちらのお店は行った事が無いのですが、何故か名前は知っていました。
オープン当初に愛媛こまちに載っていたのかな?今は予約制なんですね。
胃に優しい料理を瞬時に考えて作って出すなんて、家にいるような錯覚を覚えませんか?(家でも、こんな工夫した料理を出す事は、あまり無いですけどね)
うちだと、体調の悪い時は、お粥に梅干しを入れて食べるしかないので参考になりました。ただいま、私の心の中で、久万高原町が気になっています。
南予の他の地域も気になっています。山間部の町は行ってませんので…。冬場は厳しいでしょうね。寒さに耐えて生活されてるのって、どんな気持ちなんだろうな…。

久万高原町

わたうさぎ様

愛媛県は、南北にも細長く伸びた県ですが、高度差の大きさも西日本一大きい県です。
つまり海抜0mから、標高1,982mの石鎚山まで、約2,000mの高度差があります。

従って、久万高原町は「四国の軽井沢」と称し、平均標高は800mもあります。ですから気候風土も、食べ物を平地とは全く違っています。

中でもこのお店がある、久万高原町直瀬は、更に四国山地の山懐にありますので、独特の農作物が育ちます。

このお店のシェフさんの細やかなサービス精神と、お料理の腕の確かさは記事で書いた通りです。機会がありましたら、是非ご予約下さい。お店のホームページは以下の通りです。

http://www.kitchen-spoon.com/information.html
プロフィール

じゅん

Author:じゅん
愛媛の松山から、「愛媛グルメ紀行」や「愛媛の歴史」など、幅広いテーマで情報発信しています。日曜日を除く毎日更新。画像も豊富。
長いサラリーマン生活に終止符を打ち、還暦をとうに過ぎた2014.12.1に起業して社長になりました。

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